14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa music_new
「Up Pops the Sac」Starving Artists / Crew Fatbeats
 MTVなどで流されるHip Hopには、ほとんどウンザリしてきた。Funky DLとかJurrasic 5など素晴らしいヤツらもいるが、かつてのギャングスター系とか、いやなんだよね。で、mixiに「カッコイイHip Hop聴かせてくれ」というコミュをつくろうと思ったけれどやめといた。で、今回は僕が最高と思うHip Hop特集。まずはSTARVING ARTISTS CREW。SP, Brainstorm, IQとDJ Phizyxのミシガン州出身の4人組。ジャズに心魂捧げてきた僕は、ジャジーなどという軽薄な形容は認めない。彼らはジャズのイディオムも取り入れ、Old Schoolの匂いも残し、そこに絶妙にスクラッチが絡む傑作を作った。残念ながら解散してしまったようだが、このアルバムが評価されるのは、これからだ。
「Classic」Othello & The Hipknotics / 3Dシステム
 世間でいう「ジャジー・ヒップホップ」なる語を僕は認めない。黒人をリスペクトする(いったい何を?)とか言うんなら、まずジャズを聴くべきだ。だから硬直化したHip Hopに対し2002年くらいから急速にジャズに近づいたHip Hopが登場したのも必然なのだ。で、The Hipknoticsはジャジー?かというと、もちろんジャズだが、かなりフュージョンに近いものだ。ビバップからハードバップ、モダン、フリー、クロスオーバー、で安易なフュージョンに堕ちるまでのジャズ史くらい知っておくべきだろう。だが、そのフュージョンの良質な部分の再評価は著しい。「Opposite Side」でのジャコパスを下手にしたようなベースにホーンが絡むあたりは、かなりノセてくれる。全編ノリはいいし、エレピや、ハモンド使いがお洒落な素晴らしい出来の作品。
「An Evening With the Sound Providers」Sound Providers / ABB Records
 Jason Skills、Soulo、Profileによる3人組によるこの作品は、大傑作だと思う。The Procussionsをフィーチャーした「5 Minutes」のバックトラックは最高だし「The Throwback feat. Maspyke」は、なんと1938年にジェローム・カーンがミュージカルのために作曲した(39年初演)「AII The Things You Are」のサンプリングだ。のちにジャズのスタンダードとなるこの曲を僕は3年間くらいレコード屋に通って、勘でジャケ裏の表記を見ながら集め続けた。初期のヘレン・フォレストのスウィングに乗せたヴォーカルものから、デイヴ・ブルーベックのウェスト・コースト・ジャズまで。ともかく、彼らのサンプリングのセンスは抜群だ。単調なループに陥りがちなところが難点だが、センスでは今回最高のものと言っておきたい。
「Daedelus Denies the Day's Demise 」Daedelus / Mush Records
 今年の5月にリリースされたデーデラスの新作を今頃、紹介するなんて、という感じだろう。ともかく僕たちの今年の出版物を他の頁で見てもらえればわかるように忙しかったのだ。今作も期待を裏切らない、もう音のひとつひとつにこだわった出来。ジャンルさえわからない。前作「EQUISITE CORPSE」はHip Hopやサンプリング・ミュージックに分類されていた。これもサンプリングだが、以前よりエレクトロニカと言えるだろう。彼らは南洋系が好きだが、ここでもかなりエレクトロなところに「バイーア」なんてサンバ風の歌声がワンフレーズ入るなんて、アイディア満載。個人的には前作「EQUISITE CORPSE」のほうが、好きだが、このアルバムにも冴えてない曲は1曲もない。個人的には、今、世界で最もクリエイティヴと思えるミュージシャンだ。
「Up All Night」The Procussions / 3Dシステム
 「An Evening With the Sound Providers」の5曲目「5 Minutes feat. The Procussions」で共演したThe Procussionsの作品。 「5 Minutes 」が名曲であることは上に記した通りだが、コロラド出身のThe Procussionsはフェンダー・ローズとドラムとラップだけで、素晴らしい作品を作り上げている。インストだけの曲があり(ローズとドラムだけで聴かせるところが並じゃない)、これがジャズに属するのか、Hip Hopに属するのか、よくわからないが、ともかくスゴイ作品だとは言いきれる。夜の10時から朝の6時までスタジオにこもって一気に作った作品で、しかもエンジニアはSound ProvidersのJason Skillsが担当している。昨年、来日しているが、その時点で彼らを知らなかった我が身の不覚を嘆く。
48Months
Asheru&Blue Black of The Unspoken Heard
/ 3Dシステム
 2004年に発表されたこのアルバムは、タイトル曲が秀逸。緩いエレクトロニカ調にラップが乗る。その感じがなんとも良いのだ。もっとも彼らの作品で一番好きなのは、ファースト・アルバム。「Soon Come...」。NYのヒップホップ・レーベル"7Heads"からデビューし、1万枚を売り上げたアルバムだ。ただし、AsheruとBlue Blackの2MCにはさほど興味はない。素晴らしいのはバックトラックを担当しているYusef Dinero。「Think About」なんてちょっと泣けるようなピアノ・ソロにラップが乗る。それだけでもグッとくる。このアルバムもファーストもバックトラックの良さは保証する。もっとも「Asheru&Blue Black」としては2005年に解散してしまった。
「Life Is Full of Possibilities 」Dntel / Plug Research
 今回の特集の趣旨にはずれるが、前回、紹介した大好きな「Postal Service」というユニット結成のもととなったアーティストを紹介しておきたい。このDntelは、LA在住のジミー・タンボレロの個人名義。今聴いても素晴らしい。アブストラクトでノイジーなのだが、そこに美しいメロディーや音が潜んでいて、とても気持ちの良い作品だ。彼が、下の欄で紹介するギターロック・バンドのベン・ギバートと偶然、邂逅し「Postal Service」が生まれたというわけだ。これはすべて打ち込みやサンプリングだが、エレクトロニカの範疇も超える、ともかく知性的な作品。
「Transatlanticism」Death Cab for Cutie/ Barsuk
シアトルはベリンガム出身の4ピースバンドの4th album。いわゆるギターロックのバンドで、前回紹介した「Postal Service」を聴かなければ、このバンドを聴くこともなかっただろう。だが、何度も聴いているとその心地よさが伝わってくる。細部でセンスがいい。ギタリストであり、プロデューサーでもあるクリス・ウォラの才能だろう。そしてヴォーカルのベン・ギバート。彼がDntelのジミー・タンボレロの非常にアブストラクトな音に共鳴し、打ち込みとヴォーカルの素晴らしい作品Postal Serviceの「Give Up 」が、生まれたことは、ほんとうに奇跡的な出会いと言ってもいい。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2006/09/01