14.down tempo系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
JELLO VOILE 「Sugar & Spice」The Jumping Jacques / Petra Srl
今回はVoicesというかChoirというか、そのあたりを特集してみようと思った。そもそも昨年からヤンコ・ニロヴィックの「Vocal Impressions」など昔の録音が「Pulp Flavor」から立て続けに出るなど、60〜70年代のスキャットものの掘り下げがボッサ・ラウンジ系を経てどんどんコアになってNovi Singers再評価にまで至ったからだ。このジャンピング・ジャックスは2002年夏に発売されたもの。60〜70年代のB級映画にピッタシのスキャットは、スピード感溢れたものからバロック調まで多種多様。全曲をグループのリーダー、ジャック・ヘンドリックスが作曲しているのには、ちょっとビックリ。
Melody A.M. Royksopp 「NOVI in WONDERLAND」Novi Quartet / Saba
昨年あたりからのポーリッシュ・ジャズ再評価、とくにcompostなどのクラブ系レーベルでの動きからNovi Singersの再発まで、これほど50〜60年代ポーランドものが聴けるようになるとは思いもよらなかった。ジャズ専門店ではポーリッシュ・ジャズはずっと高めで買うのに躊躇していた。ワルシャワの音楽学校出身のベルナール・カウカが同級生らとともにノヴィ・シンガースを結成したのが1964年。これは68年にNovi Quartet名義でドイツのSABAレーベルに残した録音を当時のジャケのまま再発したもの。素晴らしいテクニックに満ちた最高のジャズ・コーラス!
LOVE STREAMS MARZ 「A New Perspective」Donard Byrd Band & Voices / Blue Note
ドナルド・バードがコーリッジ・パーキンソンによるコーラス・ディレクトを得て、1963年に制作されたちょっと毛色の変わったアルバム。若干23歳のハービー・ハンコック、そしてハンク・モブレー、ケニー・バレル、ヴァイブにドナルド・ベストなどの豪華な面子が参加している。彼らに絡むのが男性4声、女性4声、計8声のスキャットで、その整然としたクールな絡みが何とも60'sな感じでカッコイイのだ。アレンジはかのデューク・ピアソン。ラウンジ系のスキャットよりずっとインテレクチュアルで、クールでホット! モブレーのテナーが素晴らしく、バードがそれに張り合っている。
PAUSE FOUR TET Leonard Feather Presents "The Sound of Feeling" and The Sound of Oliver Nelson / Verve
これは凄いアルバムだ。アリスとラエ・アンドリュースの双子の姉妹が奏でるフリーキーなヴォーカル・インプロビゼーションの世界! 姉妹とピアニストのゲイリー・デヴィッドが1967年、サンフランシスコのクラブに出演しているところに居合わせたオリヴァー・ネルソンは「凄い。彼女らはジョン・コルトレーンが目指しているのと同じグルーヴだ」と語り、それがこのアルバム制作のきっかけにもなったらしい。姉妹が参加しているのはA面だけだが、オリヴァー・ネルソンのソプラノ・サックスも彼女らのスキャットも、まるでコルトレーンに乗りうつられたかのような迫力で、まさに歴史的名盤。
NP3 Nils Petter Molvaer 「Night Mist」The George Shearing Quintet with voices / Capitol
ジョージ・シアリングはジャズ界ではクール派と言われているが、イージー・リスニングに近い作品も多く、実際のところはバカにしているジャズ・ファンのほうが多いだろう。僕自身は60年代くらいまでの録音ばかりオリジナルで20枚くらい集めた。まあ、安易な多作家なのだ。だが、このイギリス生まれの盲目のピアニストのフレージングは、まさにシアリングだけの独自の世界だ。「枯葉」にショパン風のフレーズをそのまま乗せてしまったり、まあ、行くところ可ならざりしものなしの天才ぶり。本作は滅多に中古盤屋にも出ないが、ジャケの美しさとコーラスの絶妙さが最高の1枚。
a room full of tuneful 「Concert for my Love」George Shearing with orchestras and choir / Capitol
ジョージ・シアリングの作品はクール派のジャズとイージーもの、そしてラテンものの大きく三つに分けることができる。ラテンの側面はカル・ジェイダーがシアリングのバンド出身であることから、その実力のほどが知れるだろう。イージーものはどれも美女を配したジャケットがイカしているが、そこがジャズ界からは軽く見られてしまった。オーケストラやコーラスのアレンジまでシアリングが手がけ、その上に流麗な彼のピアノが乗るこの作品は、さきに紹介した「Night Mist」がカルテット編成だったので、それ以上にムード・ミュージックに近い。そのゴージャスさがまた良いのである。
MANTIS ERIC TRUFFAZ 「But Beautiful」The Norman Luboff Choir / Columbia
ノーマン・ルボフは、ムード・ミュージック畑の人で50〜60年代にコーラスをうまく取り入れて成功した。本作は、ジャケットのオモテにカメラマンとメイクアップのスタッフの名が書かれているくらいだから、相当に写真に力を入れたアルバムだ。内容のほうも素晴らしく、そもそもミステリアスでゴージャスな女性Choirものにハマったのもこのアルバムからだ。「Fool Rush In」や「Moonglow」など、スタンダードの名曲ばかりを集め、そのどれもがオーケストラとコーラスの絶妙なバランスでまったく陳腐に陥らない。O.S.T recordsあたりにはオリジナル盤が入荷するみたいだから要チェック!
Salle sdes pas perdus Coralie Clement 「Helen Merril / John Lewis」 / Mercury
MJQのピアニスト、ジョン・ルイスと歌手のヘレン・メリルの名をそのままアルバム名にしてしまったこの作品は1976年に録音され、ほとんど話題にもならなかった。しかしジョン・ルイスは、80年代にはJ・S・バッハの「プレリュードとフーガ」を題材にした4部作の傑作を残している。MJQのなかでもとりわけクラシック研究に熱心でバッハが好きだったルイスのピアノは、いつも彼特有のフレーズが現れる。本作の1曲目、MJQの代表作「Django」(ジャンゴ・ラインハルトに捧げられた曲だ)は歌詞がないためにメリルのヴォーカルはスキャットのみ。これが最高に美しい。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2002/10/16