14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
The Whitest boy Alive
「Dreams」The Whitest boy Alive / Service Record
 この1年は忙しく、このコーナーも更新が遅れ、紹介作品も一回り遅れそうだが、そのぶん良質な作品を紹介しておく。まずはアーランド・ボウイがベルリンで結成した、このバンド。23歳でソロ・デビューしたときから彼の音楽は格別だった。最初のテクノの打ち込みからフォーキーなKing Of Convenienceへと変化し、その間、他のアーティストともいろいろ共演し、そして今度は、今までの中間をいくようなバンド形態だ。だが、どんな形態でも彼独特の声とメロディがあって、どれも唸らせる。これもよくできた曲ばかりで、ロックそのものが凡庸の代名詞になりつつある現在、貴重な作品だ。
James Figurine

「Mistake Mistake Mistake Mistake」James Figurine
/ Plug Research
 このコーナーでも紹介してきたDntelやThe Postal Service名義で活動してきたジミー・タンボレロが1999年に高校時代の友人と組んでデビューしたユニットが「Figurine」。この活動は 2ndまでで終わったかに見えたが2006年、突如としてJames Figurineというテクノ・ユニットとして復活。ゲストにアーランド・ボウイを迎えた「All The Way To China 」が彼の声質も与って秀逸な出来具合。全体は80年代末くらいからのシェフィールド系のテクノを思い起こさせるような音作りだが、時を経たからかもしれないが、90年代後半以降、あれほどウンザリしていたテクノが気持ちよく聴こえる。

efterklang
「Tripper 」efterklang / The LeafLabel
 デンマーク発の5人組、efterklangのリーフ・レーベルからのデビュー作がこれだが、つい最近2ndがリリースされた模様。そちらはまだ聴いてないが、このデビュー作も相当に凝った音作りだ。エレクトロニカにストリングスやピアノ、女性コーラス、ホーンなどが絡み、繊細でメランコリック、しかも静謐。ジャズで例えるならこのコーナーの31で紹介したラーシュ・ダニエルソンのような感じ。彼はスウェーデンだったけれども、独特の北欧ぽさってあると思う。基本は今のエレクトロニカなのだが、随所にその枠組みを広げようという試みが聴き取れる。控えめだが凝ったドラミングも魅力的だ。
finn
「Expose Yourself to Lower Education」finn / Ward Records
 ドイツのハンブルグ発のfinnは、基本的にはパトリック・ツィンメルのユニットで、彼自身がヴォーカル、ギター、ベース、それにシンセまで繰る。フォーキーなギターのナマ音にシンセのストリングス音などが絡むと、なぜか基本はエレクトロニカに聴こえる。どれもか細い声でメランコリックなメロディは、このところのエレクトロニカの主調音でもあるから、そう感じさせるのかもしれない。好みは分かれると思うが、ここにはリズムは少ないが美しいメロディと、聴いていると海の奥深くにでも沈殿してゆくような感覚がある。日本盤Remixトラックが5曲追加は多すぎてウザい。
Milosh
「You Make Me Feel 」Milosh / Plug Research
 カナダのトロント出身のマイク・ミロシュが一人でやっているのが、このMilosh。これも紹介し忘れていた作品。2006年にリリースされた「meme」の1曲目「It's Over」も恋愛の終わりを歌ってせつないが、これはそのひとつ前の作品。これも1曲目「You Make Me Feel」がすごくいい。こちらはその終わりになる恋愛を歌った作品。どちらを紹介すべきか迷ったがジャケが断然、こちらが良いのと全体の曲の良さも考えてあえて旧作のこちらを選んだ。基本的にオヴァーダビングのコーラスがすごくいいし、あるいは「Creepy」のようなインストの曲も、泣けるメロディにアブストラクトな装飾音が絡むといった具合で、ともかく凝った音作りに感嘆させられる。
Husky Rescue
「Ghost Is Not Real」Husky Rescue / Catskills Records
 efterklang と一緒に買ったのがこのHusky Rescue。ヘルシンキ出身だ。音も北欧的なフォーキーなエレクトロニカが基本だが、こちらは女性ヴォーカル。音が似ているというわけではないが、僕の好みがどうにもこっちのほうに自然と向いてしまう。Makro Nybergを核にメンバーは4〜5人で変動しているバンド形態だそうで、意外とロック的なアプローチもあるのはそういう理由からだろう。ジャケが普通のものとブック形式のものがあって、このブック形式のジャケには強烈に惹かれた。なかのイラストがまた楽しい。
Emilie Simon
「The Flower Book」Emilie Simon / Milan  Records
 矢継ぎ早に新作をリリースしているエミリー・シモンは、自宅にスタジオを構えるサウンド・エンジニアを父もつ。彼女はすでに映画『皇帝ペンギン』のサントラを担当しているが、誰もが好きになるサウンドというわけでもない。最初にハマったのは2006年にリリースされた「Flower」だ。オーケストラ・アレンジもできてしまう彼女がこの表題作では、ちょっとタンゴ風のベースにB級GSサウンドをエレクトロ風味にアレンジしたような、なんとも面白い曲を作っていた。重厚なオーケストラ・サウンドからチープなポップまで行くところ可ならざりしものなき、という感じがスゴイのだ。
Coralie Clement
「Bye Bye Beaut」Coralie Clement / EMI Records France
 コラリー・クレモンがフランス・ポップス界の鬼才バンジャマン・ビオレーのプロデュースのもとでデビューしたときは、このコーナーでもすぐに取り上げた。完璧なフレンチ・ロリータ系サウンドで、60年代のようでもあり、80年代のようでもあり、そして2002年のサウンドでもあった。彼女のセカンドがこの作品。前作に比べるとグッとロック寄りのサウンドになっているが、歌い方も声も変わらないからようするにハードであっても、甘酸っぱくせつない響きなのだ。音的にはフランスのもう一人の奇才ベルトラン・ブルガラに近づいた感じもしないでもない。
Francoiz Breut
「Une Saison Volee」Francoiz Breut / Bella Union
 フランソワ・ブレを好きになったのは、じつはこのCDには収められていない「Les Forges」というライヴ音源を聴いてからだ。2001年にリリースされた「Vingt a Trente Mille Jours」では、フランス映画音楽界の巨匠、クロード・ソーテの「La Chanson D'Helene」を沈鬱に現代的にアレンジしていて、それにも感動した。彼女もエミリー・シモン同様に多面的なところがあって、どの曲もが良いわけではないし、今風のポップスではまったくないが深く心に刻み込まれる作品が多い。フレンチはここ数年、すごく面白くなっているような気がする。
Juana Molina
「Tres Cosas」Juana Molina / Tock
 アルゼンチン音響派としてデビューした『Segundo』の次にリリースされた本作では「音響派」的な音作りは弱まって、ヴォーカルの良さを出すほうが前面にきていると思う。となると楽曲の良さが善し悪しを左右するが、これがまた良いのだ。淡々としたメロディとフォーキーな音作りが寂寥感を出していて、デビュー作とは違った良さがここにはある。このあとにリリースされた最新作の「Son」のほうがデビュー作に近い感じに戻った気がする。個人的には本作が一番好きかもしれない。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2007/11/01