14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
「Giovanni Mirabassi & Andrzej Jagodzinski Trio」/ Atelier Sawano
ミラバッシがアコーディオンにアンドレイ・ヤゴンジンスキーを迎えて(?)の新作だが、「?」と記したのは、じつはヤゴンジンスキーはピアニストであり、このCDのバックは彼のピアノ・トリオのメンバーだからだ。ということは「迎えられた」のはミラバッシのほうではないか? しかし楽曲のほとんどはミラバッシ作品なのでやはりこれは彼のアルバムとして聴いて良いのだろう。過去に録音された名曲がここでアコーディオンという新たな楽器を得てうまく蘇っている。どんな楽器編成だろうとも、その編成の良さを感じさせてしまうミラバッシの作曲家として才能には驚くほかない。名作だ。
「Giovanni Mirabassi」/ Atelier Sawano
2004年11月27日、すみだトリフォニーホールでのミラバッシ来日公演会場でのみ販売されたCD。手書き文字のジャケ・デザインの上にメンバー3人にサインしてもらったので、どこまでがデザインなのかわからなくなってしまった。発売中のミラバッシ・トリオのDVDに収録しきれなかった曲をメインに構成されているが、内容はひじょうに充実している。とくに6曲目の「Yeaterdays」は、ドラマーのルイ・モーチンが普通のドラムセットを手で叩いているのだ。で、ちょいラテン・テイストを醸し出している。ジルダス・ボクルのダブルベースも素晴らしいセンスで、まったく完璧なトリオと言っていいだろう。
「Sons Of Sound」/ Atelier Sawano
で、引き続きこれも2004年11月27日のミラバッシ来日公演会場で入場者全員に配布された限定CDシングル。ミラバッシのトリオ演奏とソロの2曲入っている。オマケとしてはなかなかのものだ。ここでのダブルベースは来日時のボクルではなく、それまで彼と活動してきたダニエル・メンカレッリ。まあ、どちらも甲乙つけがたい。ただしボクルは弓での演奏がひじょうに素晴らしかった。でも、『DAL VIVO!』でのメンカレッリの演奏を聴いたときも感動したしね。ちなみにこのジャケ写真はいかにもイケメン風でかなり気持ち悪い。実物はもっとサエない探求系という感じで、そこがすごく魅力的だったのに!
「Libera Me」Lars Danielsson / Act Music
僕たちがかつて日本でディストリビュートできないか、手紙まで書いたミュンヘンを本拠とするAct Musicから素晴らしい作品が出た。ラーシュ・ダニエルソンはアコースティックベース、チェロ、ピアノ、ギターまでこなして、しかも作曲からバックのストリングスの編曲までしてしまう。80年代から活動していたが、スウェーデンで録音した作品はあまり日本に入って来なかったようだ。ドラムにヨン・クリステンセン。ペットにニルス・ペッター・モルヴェル、ソプラノサックスにはデヴィッド・リーブマンと共演者も凄い。音はいかにも北欧。ストリングス等もとても美しく、ジャズという範疇を超えた広さを感じさせる独特な音楽だ。まれに見る傑作!
「Sons of Sound Jazz 2004」V.A. / Sons of Sonnd
レコード屋で『jazzyell』という冊子を目にしたことはないだろうか? 大阪のディストリビューターだが、僕はここが仕入れる作品や、ここの主宰者のレコード評も好きでよく買うし、冊子も送ってもらっている。その最新号になんと付録で1枚のCDが付いてしまった。ニューヨークのレーベル「Sons of Sound」からの作品12曲のコンピレーション。http://sonsofsound.com/recordings/jazz.htmlのページに掲載されている多くのアーティストの作品が1〜2曲づつ聴けてしまうのだから、まあかなり得した気分になれる。1曲目のMike Holober & The Gotham Jazz Orchestra(バットマンのゴッサム・シティからその名を取った?)のバップなスピード感溢れる演奏がカッコイイ。なかなかいいレーベルだ。
「Moonlight Becomes You」Eddie Higgins Quintet With Strings / Venus Records
日本のVenus RecordsはCDとともにアナログ盤も出して、しかもジャケの写真にも凝っている(媚びている?)。そのうえ案外秀作揃いだ。今年リリースされたこのエディ・ヒギンズのストリングスをバックにした演奏もなかなか洒落ている。A4、B2の曲などはジョージ・シアリングの名演を明らかに意識したもの。しかし、ここでも寺島靖国が心臓が止まるほどくだらない解説を書いている。シアリング・サウンドはあくまで彼のフレージングに依るものだということを理解していない。「正統派」ジャズから抜け出たことを、自身「大イバリ」しているが、カル・ジェイダーやデイヴ・パイクを知らない「正統派」などは、ポスト・ロックやオルタナティヴでも聴いて出直して来るべきなのだ。解説は最低だが音楽はイケる1枚。
「Mirao, Pris, New York」Sir Roland Hanna Trio / Venus Records
Venus Recordsリリース作品のなかで最もジャケが気に入っているのがコレだ。パンストは耐え難いが、バックのシームが美しいし、いいポージングだ。いや、ジャケだけでなく熟練のローランド・ハナの演奏もなかなか。後藤誠が寺島靖国の数百倍は、まともな解説(文字数もね)を書いている。このアルバムはMJQのピアニスト、ジョン・ルイスの作品をタイトルどおり都市巡りのように連ねているトリビュートものだが、ベースにジョージ・ムラーツ、ドラムスにルイス・ナッシュが参加しているところがミソだ。ジョン・ルイスの遺作「Evolution II」に参加したこの二人を迎えてルイス楽曲のみでアルバムを制作したところにローランド・ハナの意図はくみ取れるだろう。ジョン・ルイス・ファンには泣ける1枚でもある。
「Music From The Ether」Lydia Kavina / mode
これは1999年にリリースされた作品だが、最近、中古盤屋で出会っていたく感動したのでここに取り上げることにした。掲載した写真は裏ジャケット。この女性が全編テルミンを演奏するリディア・カヴィーナだ。67年生まれで、すでに9歳のときにテルミン博士と出会って、この楽器を始めたようだが、その演奏技術といい音の広がりといい、これまで聴いたテルミン奏者のどの作品をも凌駕するものだ。1曲目ピアノをバックに演奏されるロマン派風の現代音楽からして最高である。1929年に作曲されたこの曲に始まり、30年代、40年代の現代音楽や90年代のカヴィーナ自身の作曲によるものも含めて全12曲。すべてが驚異の演奏。驚異のセンス。このような作品がこの地上に存在し得ること自体に感動する。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2004/11/29