15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
JELLO VOILE 「JELLO」VOILE / skam
U.K.のエレクトロニカ系レーベル、SKAMからリリースされたこの「VOILE」は、じつはこのレーベルからすでに作品を出しているBolaの別ユニットである。ちょっとアブストラクトだったり、あるいはヘビーなエレクトロニカ風味でありながら、全体にはなぜかすごくクリアで美しい音楽。1990年前後のチルアウト系を思い起こさせる浮遊感がありながら(3曲目)、アグレッシヴなトーンもあって(4曲目)、かなりのいいデキだ。ピアノの旋律が美しい5曲目やミックスマスター・モリスのような「スペース感」から始まり徐々にビートが刻まれてゆく8曲目など、ほんとうにこれは出色の出来。必聴の一枚と言えると思う。
Melody A.M. Royksopp 「Melody A.M. 」Royksopp / wall of sound
ロイクソップはスヴェイン・ベルグとトルビョム・ブルンドフラント(なんかノルウェー出身だそうで、この読み方が正しいのか確信ないが)の二人のユニット。ノルウェーのTELEというレベールにいたが、昨年10月に新たにU.K.のwall of soundレーベルに移ったらしい。この夏、どこのレコード屋にもこれは並べられていたが、実際、けっこう売れそうな気持ちのいい作品。とくに6曲目「A Higher Plece」は、北欧的な透明感のあるメロディがエレクトロ系のバックに絡む美しい曲で、ふつうにヒットしてもおかしくないと思わせる。エレクトロ、ハウス、ダウンテンポなどのさまざまなアプローチが入りながら全曲ポップで、まあレコード店が推すのもわかる気がする。
LOVE STREAMS MARZ 「LOVE STREAMS」MARZ / KaraokeKark
ドイツのカラオケカークから出たこのMARZは、フランクフルトを拠点に活動するエッカルト・エレルとアルブレヒト・クンツのユニット。1曲目のアコースティックなサウンドにドイツ語のヴォーカルが絡むところから魅了されてしまう。どの曲も素朴感とダウンテンポな作りが気持ちよく、これもまた出色の出来。ミニマルな感じの音の繰り返しも音色がカラフルで、まるでミロの星座シリーズを思わせるような曲感だ。Art of Noiseやカンタベリー系とかを聴いてきただろうな、と思わせるところもあってともかく素晴らしい作品。音響派以降、何気ない曲にも細かな音のニュアンスを入れ込む人たちが増えてきて、最近の音楽状況はまた面白い方向に向かっているような気がする。
PAUSE FOUR TET 「PAUSE」FOUR TET / Domino
U.K.のアブストラクト系レーベル、OUTPUT創設時から在籍していたFOUR TETがDOMINOに移籍しての最新アルバムは、アコースティック感もありながらビートのきいた気持ちのいいサウンド群。音響派風アプローチもある凝った音作り(4曲目の冒頭ではわざとアナログ・ノイズを入れている!)と、6曲目のようにメランコリックなメロディとビートが交差する技などは、なかなかのものだ。聴き終わってアブストラクトなコラージュ感とアコースティック感というあまり相容れなそうな感触が残るところが、このアルバムの優れたところだろう。
NP3 Nils Petter Molvaer 「NP3」Nils Petter Molvaer / Emarcy
80年代から活動しているノルウェーのトランペッター、ニルス・ペッター・モルヴァルは、10代にマイルスのエレクトリック・サウンドに出会ったという経歴で、たぶん筆者とも同年代だろう。ジャズ界には珍しくサンプリング音源や打ち込みを多用しアブストラクトからアンビエントまで体内に取り込んでいて格好いい。90年代にヨーロッパ・ジャズの名門ECMから2枚リリースし、ECMを離れた本作は3作目。1曲目のエッジの利いたフューチャー・ジャズ・サウンドでかなりグッときたが、全9曲聴くとちょっと飽きてくる。このあたりがジャズメンの限界か? いっそのことジャズを取り払って何でもアリにしてしまえば最高になるのに、と思った。でも一聴の価値ある秀作。
a room full of tuneful 「a room full of tuneful」V.A. / melodic
U.K.はメロディクからのコンピレーション。たしか1300円くらいのお買い得だったと思う。それぞれアーティストが違うが3曲目、あるいは4曲目(Pedro)などは、かなりいい作品だ。それにしても最近のアコースティック・ギターの音色の復権は何だろう、80年代のヤング・マーブル・ジャイアンツを思い起こさせるようなところもあるが、ようはここ2年くらいのボッサ・ラウンジ系のノリに飽きてきたということなのかもしれない。2、3、4、7曲目がとくに素晴らしく、なかでも7曲目Bronze Age Foxのアコースティックの入れ方は出色。
MANTIS ERIC TRUFFAZ 「MANTIS」ERIC TRUFFAZ / Blue Note
フランスのBlue Noteから出た期待のトランペッターの新作。前作よりもカッコイイと思う。とくに1曲目、昔のアート・リンゼイとジョン・マクラグリンを足したようなエッジの利いたノイジーでパンキッシュなギター・インプロヴィゼーションは最高。ギターのマヌ・コジャはアコースティックな弾き方でも素晴らしい。ドラムスも現代的だし、ベースも悪くない。7曲目の中近東風とか、サンプリング音源をコラージュしたりとか、トラファズの作曲家としてセンスも素晴らしい、が、はっきり言って彼のトランペットのフレーズの凡庸さだけは、どうしても気になってしまう。
Salle sdes pas perdus Coralie Clement 「Salle sdes pas perdus」Coralie Clement / Capital
Capitalの50年代、60年代のアナログばかり集めていたので、Capitalロゴが50年代のものに戻っていることを知らなかった。コラリー・クレモンは、あまり話題にならなかったが、21世紀のジェーン・バーキンだ。声や歌が似ているというよりも質感が近い。そして全曲素晴らしいフレンチ・ポップ・チューン。とくに4曲目や7曲目は80年代のニューウェイヴが、60年代のフレンチ・ポップスを真似てつくったような、ノスタルジックではないが、でも不思議なノルタルジーに包まれた音空間が続く。全曲美しく、これは絶対に買わないと損。リヴィエラ海岸をヨットで恋人と過ごす時間をイメージさせて、僕は睡眠中にだけ、そこに行って美と快楽と過ぎゆく波の泡沫を享受している。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2002/09/06