14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
「Universal Syncopations」miroslav vitous / ECM
ウェザー・リポート創設時のベーシスト、ミロスラフ・ヴィトウスが11年ぶりにECMから新作を出した。ともかく1曲目の「Bamboo Forest」が最高で、繊細でテクニカルなベースにヤン・ガルバレクのリリカルなソプラノ・サックスが絡む。ちょっと聴いたことないパターンの美しい曲だ。共演が旧友のチック・コリア、ギターにジョン・マクラグリン、ドラムはジャック・ディジョネットだから往年の大スターが勢揃いした感じで、70年代前半が蘇ったような錯覚を感じる。音はいかにもECMって感じ。下記サイトで試聴できる。http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/miroslav_vitous/
「We Could Be Flying」Karin Krog / Polydor
2003年のこのレビューでカーリン・クローグの素晴らしい再編集盤を紹介した。なかでも多く収録されていたのが、この「We Could Be Flying」からのものだった。以来、ヤフオクなどで探したが、74年に録音されたアナログ原盤は5万円とか途方もない値段がついていた。その待望のアルバムが、ついにCD化され再発された。もう、これは絶対に買いの1枚と断言しておこう。どの曲もいいし、スティーヴ・スワロウのベースはよくうねるし、ピアノのスティーヴ・キューンの作曲したものは、きわめて斬新。もちろんカーリンの歌も最高で、これを聴いたら今の若手女性ジャズ・シンガーなどかなり色褪せてしまう。
「Over The Rainbow」Mads Vinding・Jacob Fischer / Cope Records
エンリコ・ピエラヌンツィと共演した傑作『The Kingdom』で知られるデンマークのベテラン・ベーシスト、マッズ・ヴィンディングがギターのヤコブ・フィッシャーと共演した弦楽デュオ。これも1曲目から感動させてくれる。映画『M★A★S★H』の主題曲「Suicide in Painless」をジャズでやっているのだ。原曲はフォークだった。90年代初めマニック・ストリート・プリーチャーズはロックでこれを聞かせた。それがベースとギターのみで美しく蘇っている。テーマ部分をベースが担っているのが秀逸。それ以外はスタンダードがほとんどだが、弦楽デュオとは思えない豊かな音で全曲、飽きさせず聴かせてしまう秀作。
「Live at Copenhagen Jazzhouse」Peter Rosendal Trio / Cope Records
そのマッズ・ヴィンディングをベースに迎えて、同じCopeからピアノ・トリオとしてデビューしたのがペーター・ローゼンタール。デンマークの有名なコペンハーゲン・ジャズクラブでの2002年8月のライヴ録音だ。8曲中、6曲はこの新人ピアニストによるオリジナル。これまた1曲目で聴かせてしまう。ドライヴするピアノに、ヴィンディングのかっこいいベース・ソロ。2曲目はいかにも北欧ジャズ的な美しいバラード。3曲目は繊細なフレーズのピアノに意外な展開のベースが絡んで……。と全曲解説したくなってしまう秀作。新人とは思えないローゼンタールもいいが、ヴィンディングは、やはりすごい。
「Manhattan Portrait」Niels Lan Doky / Darah
「Sarah」シリーズがヨーロッパ勢のいいところを積極的に復刻している。以前紹介したピエラヌンツィもそうだが、このニルス・ラン・ドーキーも93年の録音だ。近作では「トリオ・モンマルトル」名義での録音が評判だが、はっきりいって僕は、最近のは凡庸だと思う。どこといって悪くないし聴きやすいが、だからどうした? という感じだ。これはデンマーク出身のニルスがNYでゲイリー・ピーコックとビリー・ハートとトリオを組んで録音したもの。10曲中、6曲はニルス自身の作曲によるもので、どれもいいがゲイリー・ピーコックのベースが最高で、アルバム全体を締めている。
「Tenderly」Alain Mayeras Trio / Cristal Records
ピアノのアラン・マイエラスがバルネ・ウィランなどと共演してきたベースのジレ・ナチュレらを迎えたフランスのトリオ。何といってもマイエラスのセンスがいい。選曲のセンスも、そして彼の作曲のセンスも。9曲目はジョルジュ・ドルリュー作曲、ゴダールの『軽蔑』のテーマだ。サントラもいいがジャズで聴くこの曲もいい。地中海のけだるい午後を思わせるこの曲のあとには「Fly Me To The Moon」がはねる。バッハのインベンションもあれば、ベニー・ゴルソンの「Whisper Not」も。そしてタイトルの「Tendery」。盛りだくさんで、しかもそれぞれ表情を変えた15曲。まぎれもない傑作。
/td> 「How Sweer It Is」Loren Stillman / Nagel Heyer Records
ハンブルグのプロデューサー、ナゲル・ヘイエルが主宰するレーベルから2001年、若干20歳でデビューしたアルト・サックス・プレイヤーが、このローレン・スティルマンだ。全曲オリジナルで、これまた新人離れしている。クールな美しい音色で、ともすれば凡庸に陥りがちなアルトという楽器が、ここでは本当にクリエイティヴだ。アメリカで生まれ活動してきた彼が、なぜドイツでデビューしたのかは不明。本作も、そして2003年に同じ面子で録音された新作もNYでの録音。しかも新作の発売はスペインのフレッシュ・サウンドだった。9.11以降アメリカ人はカントリーに狂ってしまったのか?
「The Crazy World of Jess Franco」Jess Franco and His B.Band / Subterfuge Records
最後にどうしようもない映画監督の案外にイケるサントラを紹介しておこう。モンド系ではあるが、一応、ビッグバンド・ジャズである。率いるのはジェス・フランコ。スペインの超弩級B級ポルノ、ホラーの監督であまりに量産したためにその作品本数も定かではない。同じロケフィルムを使いまわして数本の映画を作ったりとか、もうそのひどさはエド・ウッドの比ではなさそうだが、彼がサントラを作曲したという話は聞いたことがない。だが、このアルバムには彼のビッグバンドと記してある。ともあれ、音はイタリアの70年代モンド・ジャズ系のようなちょっと小洒落た感じ。モンド・ラウンジ好きに。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2004/02/28