14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
「Clifford Brown with Strings」 Clifford Brown / EmArcy
わずか25歳で夭折してしまったクリフォード・ブラウンが24歳のときに(55年)録音した異色のアルバムがこれ。トランペッターでもあったニール・ヘフティが編曲、指揮するストリングスをバックに演奏するというアイディアは、プロデューサーが言いだしたものでブラウニーは嫌がったとも聞く。たしかに彼のほかの名演に比べたらちょっとアマいかもしれないが、それでもブラウニーなのだ。他のメンツのプレイがイマイチのときでも、絶対にそれにひきづられなかったのは彼とチャーリー・パーカーぐらいではなかったか? 55年の録音だからバックのストリングスも当時のムード・ミュージックの王道をいっていて、曲も超メジャーなスタンダード曲ばかり。最高に気持ちのいい1枚。
「Cannonball Adderley and Strings」Cannonball Adderley and Strings / EmArcy
ブラウニーのレコードと同じ年の秋に録音されたのが、キャノンボール27歳のときに録音されたこのアルバム。レーベルが同じなので柳の下のどじょうを狙って企画されたものか? 編曲と指揮はリチャード・ヘイマン。ハーモニカ奏者で編曲家でもあった人物だ。ただしこのアルバムではミュージカル風の編曲が今ひとつ。ムード・ミュージックも、聴きこむと微妙に善し悪しを理解するようになってきて、ついストリングスを聴きこんでしまう。キャノンボールのアルトは、イージーに流れず悪くないし、しかも「I've Never Been in love Before」が収められている。この曲はシナトラで有名だが、エディ・コスタやジョージ・シアリングも素晴らしい演奏を残している名曲中の名曲だ。
「Black Satin」 The George Shearing Quintet and Orchestra / Capitol
僕はシアリング・マニアで、50年代から60年代初頭までのオリジナル盤は集めまくった。で、彼の作品にはストリングスものも何枚かあるし、しかもこの頃の演奏には悪いものがないからどれを選ぶかというと難しい。まあ同じようなシアリング節ということなのだが。でも、これほど端正で繊細で流れるようなフレーズを持ちながら、スウィング感溢れるピアニストは他にいないし、似たような弾き方をするピアニストもいない。ジョー・バートンあたりがちょっと似ているか? で、選んだのは比較的手に入れやすいこの作品。1曲目の「The Folks Who Live on the Hill」のストリングスとピアノからして、もう最高である。シアリングの最良の部分がこの演奏に表れていると思う。
「White Satin」 The George Shearing Quintet and Orchestra / Capitol
シアリングには、上の『Black Satin』と構成もよく似た『White Satin』というアルバムもある。こちらも50年代のCapitolもので、やはりストリングス付き。1曲目に最高の演奏をもってきて(Your Dream is Love)聴き手をつかんでしまうあたりもそっくりだ。ジョージ・シアリングはイージー・リスニング的に思われがちだが、そんなことはない。ここでも何曲かはクインテットのノリの良い演奏も聴かせている。ともかく才能ある多作家なのだ。他にも『Latin Affair』(CD化されている)に『Satin Affair』と駄洒落のようなアルバム出していて、最盛期の50〜60年代だけで何枚の録音を残しているのかいまだ把握しきれていない。
「Like Love」 Andre Previn / Columbia
アンドレ・プレヴィンはアマアマだ。49年からハリウッド映画で活躍し、59年にはオスカーも取った。アレンジャーとして成功しただけでなくピアニストとしても名を成した。ジャズにもムード・ミュージックにも食指を伸ばした。しかし、彼の作品にいいものはほんとうに数少ない。悪い意味でイージーなのだ。僕が「イージー・リスニング」という言葉よりも「ムード・ミュージック」という言葉が好きなのも、「イージー・リスニング」ものは、えてして演奏もイージーだからだ。とはいえこれは、この凡庸な秀才にしては珍しくいい出来だと思う。「Like Love」の気の利いたストリングスも「When I Fall in Love」のピアノの繊細なフレーズも、ここではすべてがうまくいっている。
「Desmond Blue」Paul Desmond / RCA
ポール・デスモンドは最高のアルトのひとりだ。デイヴ・ブルーベックと組んでいた頃から、そして自身がリーダーとなった本作のような60年代の作品もずっと素晴らしいのだ。ブルーベックがフランス6人組のダリウス・ミヨーのところで学んでクラシックの素養をつけたことは有名だが、デスモンドの演奏を追っていくとフレージングでは彼のほうが影響を与えたように思えてくる。オクターブくらい音を下げるメロディアスな奏法は、かなりクラシカルな感じもする。本作は61年にジム・ホール(g)やストリングスにボブ・プリンスを迎えて録音されたもので、このあとの『Take Ten』『Easy Living』『Bossa Antigua』への助走となった快作。
「While My Lady Sleeps」 Phineas Newborn,Jr. / RCA Victor
フィニアス・ニューボーンは、好きなタイプのピアニストではない。代表作にひとつ「PHINEAS' RAINBOW」なんて、かなりダメなほうだ。ときに非常に理知的な技巧に走って、そこが苦手なのだが、そんな彼がこのようなストリングスをバックにした演奏を残していること自体、ちょっと意外だった。「ジャケ買い」したものだが、いつもよりソフトな感じはなかなか。デニス・ファーロンのオーケストラが凛々しく美しい。ミュージカル「南太平洋」の名曲「Bali Ha'i」をやっているのだが、ストリングスが素晴らしく、これだけでも一聴の価値ありだ。でも、この手のピアノはやはりシアリングには勝てない。1957年の録音。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2003/01/17