14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
40.euro+french

41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa music_new
「Brilliant!」THE DIAMOND FIVE / FONTANA
 1曲目の「Johnny's Birthday」から軽快なハードバップを聴かせてくれるこの作品はオランダのThe Diamond Fiveの1964年の録音。このような稀少盤がCDで再発されてくれるのはひじょうに嬉しい。それにしてもなぜ日本の多くのジャズ好きは救いがないまでにアメリカのジャズしか聴かないのだろうか? 50年代から60年代のヨーロッパも宝の山だというのに。The Diamond FiveはCees Slinger(p)、Cees Smal(tp,flh)が中心になったカルテットで収録曲もメインはCees Smalの書いたオリジナル曲。その作りがどれも良い。彼らの59年から62年までの録音を集大成した「Finaly After Forty Years」というCDも出たそうで、ともかくどちらも聴いておこう。
「FONTANA PRESENTING」JAZZ QUINTET 60 / FONTANA
 デンマークのJazz Quintet 60もCDで復刻! これは表記がないが、たぶん1963年の録音。ともかくスピード感溢れるハードバップが気持ちいい。何年か前にニコラ・コンテが彼らの音源をコンパイルしていたし、Schema Sextetもこのあたりの音に触発されたのだろう。と思っていたら、この盤の紹介が遅れているうちに市場でウン十万円もしていたmetronome盤を澤野工房がアナログで復刻。即、完売になったそうだ。7月にこのメトロノーム盤は澤野からCDとなって再発されたので、今年はJazz Quintet 60を2枚も聴ける年になったわけだ。本国でのオリジナル盤は「JAZZ KVINTE 60」だったようで、この表記も格好いい。
「CANTOPIANO」Giovanni Mirabassi / MINIUM
 ここではかつてほとんど特集のようなかたちで取り上げたイタリア出身、パリを本拠に活動しているジョバンニ・ミラバッシの新作。2005年暮れに来日公演を見たが、2006年末にも来日。本作は、それに合わせて制作されたという感がなきにしもあらず。こちらも澤野工房発掘組だから。今までトリオだったり、トランペット+トロンボーンとのトリオを組んだり、さまざまなユニットを試みてきたが、これは「AVANTI!」以来のソロ作。2曲目のメランコリックなメロディでもう、泣かせてくれるのだ。曲は全部いい。だが、トータルで見たら彼の作品での最高傑作は2001年の「DAL VIVO!」だったと思う。音のうねりといい、感情の入りかたといい……。
「Melange Bleu」Lars Danielsson / Act Records
 ラーシュ・ダニエルソンは、このコーナーの31で、「Libera Me」を紹介した。スウェーデン出身らしい「寒さ」が音に出ていて、それが何とも清冽な印象の大傑作だった。新作はこのコーナーでも紹介したノルウェーのブッゲ・ヴェッセルトフトと組んだ。1964年生まれのブッゲはJAZZ LANDというレーベルを作って大活躍しているが、この作品ではブッゲ色が強く出た。つまりクレジットを見なくとも、これがJAZZ LANDの音とわかってしまうということ。それがラーシュにとって良かったかどうかは疑問。他にニルス・ペッター・モルヴェル(14参照)やヨン・クリステンセンなど今、最高の面子だから出来はすごくいいのだが。
「THE NOMAD DIARIES」Chris Minh Doky / BLUE NOTE
 兄のピアニスト、ニルス・ラン・ドーキーのほうが先に有名になってしまったが、その弟がこのデンマーク出身のベーシスト、クリス・ミン・ドーキー。ベトナム人の父とデンマーク人の母との間に生まれている。ミドルネームはベトナム名かもしれない。高校卒業後、ニューヨークに渡り、プロとしての修業を始めている。ここが重要で、クリスの本作はヨーロッパのエレクトロニカを取り入れたりとニルス・ペッター・モルヴェルのような実験をしながらも、どこか今のアメリカのジャズの香りを残しているのだ。そこが良いかどうかは好みかもしれない。僕としては若手らしい新しい実験をしているのに、どこか古くさい部分を感じたのも確かだ。
「re:jazz」EXPANSION V.A / INFRACom!
 このコーナーでもINFRACom!のこの大ヒット企画はずっと紹介してきた。最初の「re:jazz」が最高だったのは言うまでもない。柳の下に泥鰌を狙ってもしょうがないのだ。で、次作でコケたが、このEXPANSIONは原点回帰というか、まあクラブ・ジャズの基本に帰ったわけで、そういう意味では良くできている。聴かせる部分はきちんと聴かせて、フロア・ライクなノリの良さもある。全体をの音作りを仕切っているのがsaxのオリヴィエ・レイヒとpanoのマティアス・ヴォクトだろう。女性ヴォーカルに英国出身のアリス・ラッセルを迎えた曲などは、かなりウケそうな曲に仕上がっている。「今」の音を知るには絶好の盤かもしれない。
「solo piano」GONZALES / Sunnyside
 これは友人からもらったもので旧作に属すが、ともかく感動したので紹介しておく。バンジャマン・ビオレーやヤン・ティルセンなどに比肩するフランス音楽界の鬼才でHipHopを作りつつも、ジェーン・バーキンの最新作『ランデ・ヴー』をプロデュースしたりとの活躍ぶりらしいが、じつは彼は知らなかった。この作品はタイトルどおりゴンザレスのピアノ・ソロで1曲目からどこかで聴いたような、でもシンプルな美しいメロディに引き込まれる。3曲目なんてサティを意識したようなところ、なきにしもあらず。カナダ出身でパリを本拠にしているが、カナダ時代には無声映画にピアノ伴奏をつけていたという。なるほどそんな感じの音。上野耕路よりも単純な音です。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2007/08/01