14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
36.british jazz
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
「Polarlichter」Tobias Sudhoff / Laika-Records
1曲目のアルトが入ったバップな演奏から2曲目のピアノ・トリオでのバラード、4曲目のビッグバンド風の出だしから静謐なバラードへの展開、5曲目はヴァイブをフィーチャーしてと、どの曲をとっても変化に富んだ最高の演奏! 2、11曲目を除いた残り9曲はリーダーでピアノのSudhoff(トービアス・サドホフ)の作・編曲。タイトルの「ポラリヒター」から想像できるようにドイツのグループで、asのチャーリー・マリアーノ以外は、ts、flのゲルト・デュレックが多少知られているぐらいだろう。しかし、これは滅多に出会えない最高の出来と言っていいアルバムだ。必聴の1枚。
「Ballads」Krzysztof Komeda / Power Bros Records
50年代から60年代にかけてポーランド・ジャズを世界に知らしめた作曲家、ピアニストのクシシュトフ・コメダの62年録音のバラード集。90年代にはポーランドのPolaniaレーベルからコメダ作品集が20数枚出ていたが、今ではそれも入荷しなくなってしまった。それ以来、コメダの作品は映画のサントラ(ベルリン映画祭グランプリの「出発」など)も含めて買い集めてきたが、このバラード集は、彼のリリカルな側面がよく現れた秀作。現在のヨーロッパ・ジャズが、ビル・エバンスやキース・ジャレットばかりなく、コメダの大きな遺産を受け継いでいることがこれを聴けばわかるはずだ。69年に38歳で交通事故死したのが惜しまれる天才。
「But Beautiful」Monica Lewis / Sound Hills
今回は「But Beautiful」と題されたアルバムを2枚紹介することになる。その1枚が、このモニカ・ルイスの55年から56年にかけて録音されたもの。ジャケのとおり美人である。歌は正統派のジャズ・ヴォーカルで、もちろん心地よく聴けるが、僕が気になったのは裏ジャケの脚をあらわにしたセクシーな写真。なんとアンクレットをしているのだ。自著でアンクレットが何故セクシュアルな記号となりえるのかを分析した身としては、すでにこの時代にアンクレットが存在していることに驚いたし、そんな写真も初めて見た。ちなみにあの寺島靖国が役にも立たないライナーを書いている。そういえばもう一人の美女、ティナ・ルイスも再発された。
「Song For The Trees」Marcos Jimenez Trio / Philology Records
ピアノのマルコス・ジメネツをリーダーとしたトリオ作品。60年にマドリッドに生まれ、6歳でスイスに移り住んだジメネツは、最初、ポップ・バンドをやっていたがジャズに転向し、86年に再デビューしたという。〈フィロロジー〉からは2001年に『After The Rain』という作品を出しているが、今回はベースをマティアス・デムーリンに代えての作品。リリカルな曲と現代音楽的な曲と両方あって平坦にならないところがいい。クラシックを学んだ経歴からくるものか? 全9曲中7曲がジメネツ自身の作曲によるもの。このオリジナリティが今のユーロ・ジャズを支えている。9曲目の素晴らしい演奏が深い余韻を残す。
「The Night We Called It Day」Peter Nordahl Trio / Arietta Discs
ペーター・ノーダールについては、この2002年6月の12回目のこのレビューで、すでに取り上げている。1966年にスウェーデン生まれ、94年に自身のトリオを結成した彼は2003年初来日を果たし、浜離宮ホールで演奏している。そのこと自体、今のヨーロッパ・ジャズの人気を物語るものだろう。ちなみに本作のレビューを書いている藤本史昭は、ヨーロッパのピアノ・トリオに批判的だったそうで、その理由は「所詮、パウエルやエバンスやキースの焼き直しじゃねえか」とのことだったそうだ。この程度の知性と「聴く耳」でライナーを書いていることが不思議だし、日本のジャズ紹介屋のレベルの惨憺たる様を物語るものだ。ライナーで不愉快にならないためには輸入盤をオススメする。
「But Beautiful」Cherles McPherson feat.Steve Kuhn / Venus Records
わけのわからないセクシー・ジャケばかり出している日本のヴィーナス・レコードだが、ベテラン・ミュージシャンを中心とした作品はけして悪くない。このチャーリー・マクファーソンも60年代にミンガスのところで活躍した熟練のアルト・サックス奏者。俗にいう円熟したプレイというやつだが、彼のアルトに、これまたベテランのスティーヴ・キューンのピアノが絡むと、旧い世代も悪くないなあと、つくづく感じる。ヴィーナスからのローランド・ハナは演奏もジャケも最高だったが、でもジイさんになるとジャケに出れないというのもちょっと可哀想な気がする。ちなみにこの写真は、あのイリナ・イヨネスコ。裏トビラの下半身がエロい。
「It's Time For Tina」Tina Louise / Soundhills
オリジナル・アルバムが数年前、ヤフオクでも1万数千円をつけていたティナ・ルイスの唯一のアルバムが〈サウンドヒルズ〉からCD化された。88年には〈フレッシュサウンド〉からLPが再発されていて、そう幻というほどのものでもない。ティナは50年代のブロードウェイ・ミュージカルで、そこそこ活躍し、57年頃このアルバムを吹き込み、それと同時に映画にも出演するようになった。いくつかの写真をみるとジャケよりもよほど美人のように見える。バックにはコールマン・ホーキンスなど大物が入っているが、ティナの歌もスウィートで可憐で、まあそのあたりも高値の理由なのだろう。
「СЦМФОАЖАЗ」БРАТЬЕВ ИВАНОВЫХ / Boheme Music
このアルバムに関しては、ロシア語しか表記がないので、アーティスト名も何もまったくわからない。2002年の録音らしいが、全編女性ヴォーカルをフィーチャーしてピアノやアルトのバック、それにストリングスまで絡めて情感はたっぷり。まるで50年代のヴォーカル・アルバムのようだ。曲も「アンフォゲッタブル」から「煙が目にしみる」のような有名スタンダードがずらり。ジャケだけ見ると現代ロシアのジャズのようだが、ノスタルジックで甘く美しいアルバムだ。ロシア語曲が数曲あり、その語感が何ともいえずいい感じだ。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2004/06/30