14.down tempo系
15.choir系
16.ピクチャー盤
17.strings
18.europe
19.eurojazz
20.usjazz+reissue
21.usjazz
22.jazz+latin
23.monica
24.delerue
25.forktronica
26.euro Jazz 02
27.italian jazz
28.electronica+bossa
29.jazz_new
30.old & new
31.mirabassi & others
32.beat & soft rock
33.chill out & bop
34.post rockeletronic
35.acoustic
37.morr+jazzland
38.hip hop
39.eurojazz+reissue
40.euro+french
41.acoustic+nordic
42.jazz+bossa
music_new
「Pressure Valve」Bryan Corbett / Woodland Records
この半年、自著『BIBA スウィンギン・ロンドン1965-1974』の執筆に忙しくて、このコーナーの更新ができなかった。出版を機に2回ほどラジオに出演する機会があってこのロンドンの60's本に因んで、どちらも60年代から現在までのイギリス・ジャズを特集した。まずは72年英国生まれのブライアン・コーベットの新作。96年にデビューしてロイ・エアーズと共演したりして、やっとCDが出せるようになってきた。トランペットからフルート、ローズにベースまで何でもできてしまう。音は軽快な今ふうのクラブ・ジャズ。ボーカルの入り方もお洒落で気持ちよい。ニコラ・コンテよりも、全然、新しいぞ。
「Shades Of Blue/Dusk Fire」The Don Rendell/Ian Carr Quintet / BGO Records
60年代、イギリスにはさまざまなジャズ・クラブがあり、多くの優れたミュージシャンがいたが、ジャズがアメリカ中心で回っていたため、世界的には有名になれず録音も少なかったりする。なかでもこのドン・レンデル/イアン・カー・クインテットは当時のイギリスを代表するグループだ。テナーとソプラノのレンデル、そしてトランペット/フリューゲルホーンのカーの双頭、作曲もレンデルによるものが多い。このアルバムは65、66年録音の2枚のアナログを1枚にまとめたCDだが、どちらも素晴らしい出来。全体では「Shades of Blue」だが、「Dusk Fire」は、このタイトル曲が最高! 廃盤になる前に絶対に入手しておくべき作品。
「Commonwealth Blues」The Tubby Hayes Quartet / Art Of Life Records
英国ジャズ・シーンでテナー奏者といえば、このタビー・ヘイズを措いて他はないだろう。35年に生まれて55年に自身のオクテットを結成。57年にはロニー・スコットと〈ジャズ・クーリアーズ〉を結成している。録音も多いが、この作品は65年にBBCラジオに出演したときのもので、フルートやヴィブラフォンもやっていて、とくに「Alone Together」のフルートや「Who Can I Turn To?」のヴァイブは、テナーに劣らぬプレイで聴かせる。もちろんテナー作品も良質。ピアノにこれまた英国ジャズ界の大物、ゴードン・ベックが入って、いいプレイをしている。
「European Jazz Sounds」Michael Naura Quintet / Atelier Sawano
イギリス特集と言いながらドイツのミハエル・ナウラ・クインテットの紹介になるが、これは澤野工房から最近CD化されたもの。現代のヨーロッパ・ジャズを紹介してきた澤野には珍しく63年の録音で、リーダーのナウラはピアニスト。収録された6曲中3曲は、ナウラ自の作曲による。ここで取り上げたのは、さきほど紹介したタビー・ヘイズ作曲の「Down in The Villege」を演奏しているという理由による。それにしても全曲、素晴らしい曲に素晴らしい演奏。こういう録音がジャズ雑誌やジャズ本にも紹介されずに今まで眠っていた、ということはジャズ評論家の怠慢という以外ないだろう。
「impressed with gills peterson」V.A / Universal Records
あの「ASID JAZZ」レーベルを設立し、クラブ・ジャズをこの10数年、普及させてきたジャイルス・ピーターソンが、自国の忘れられたジャズの名演を集めたのが、この作品。彼の最高の仕事のひとつといっていいだろう。前述タビー・ヘイズの名作「Down in The Villege」やヘンデル/カーの「Dusk Fire」も収録されて、これ1枚で英国ジャズの代表的名演が聴ける。なかでもロニー・ロスの「Cleopatra's Needle」が、素晴らしいスピード感のあるハードバップで聴くものを唸らせる。ちなみに91年、ロンドンで彼にインタヴューしに行ったことがある。時が経つのはあまりに早い。
「Power Ballads」LONDON ELEKTRICITY / Hospital Records
ドラムン・ベースとジャズを融合させ、そこにフュージョン的なものやラテン風味など、様々なものをミクスチャーしたのが、トニー・コールマン率いる「London Electrocity」だ。生ドラムで、まるでサンプリング音のような驚異のドラミングを聴かせてくれるところが、まず驚きだ。これがジャズかというと、かなり難しいところだが、クラブのフロアにぴったりの音であることは確かだ。もともと打ち込みやサンプリングを多用していた彼らだが、本作では従来に増してライブ音にチカラを入れている。クラブ・ジャズの新たな方向が見える気がする。
「RESISTANCE」Courtney Pine / DESTIN-E Records
イギリス・ジャズ特集をしてコートニー・パインを紹介しないわけにはいかない。だが、この新作は、どうしてもいいとは思えないのだ。彼のサックスのフレージング自体が古くさくなってきているし、音が厚すぎる。2003年にリリースされたコンピレーションの秀作「Nu-Jazz」に収録された「My Father's Place」のほうが、本作のどの曲よりも、よほどいいと思うのだが、どうだろうか。
©Hitoshi Nagasawa 無断転載を禁ず。2006/03/10