●著者・長澤が20代の頃から集めていた「人工着色」された昭和30年代の膨大な量の絵はがきを○橋○街と交通○ロープウェイ○ケーブルカー○バス○船○ボートとヨット○観光○行楽○奇観○動物○空港○夜景、などのテーマ別に厳選し、編集した、とびきりキッチュなグラフィック本。絵はがき愛好家の多くが明治・大正の戦前のものに価値をみいだしているため、昭和30年代〜40年代だけに焦点を当てたものとしては唯一無二のまさにモダンでスピーディ！なヴィジュアル・ブック。
●さらに主なテーマではその乗り物や景勝地の文化史としての文章も添えて、こちらも簡潔ながら読み応えのある内容。たとえば日本でのバスや船の歴史、観光文化の変遷、それらを“交通史”、“文明史”として書くのではなく、ボール・ヴィリリオなどを援用して、スピードが文化をどう変化させたか？　などのまったく独自の視点から論じたカルチャー史となっている。観光絵はがきの構図の遡源を跡づけた画期