ポール・ロステッターが始めたスイスのレーベル「BRAMBUS」。彼の審美眼によって「発見」されたミュージシャンの作品は、どれも秀逸だ。なかでも1965年バーゼル生まれのピアニスト、ハンス・フェイゲンウィンターは新世代のヨーロッパ・ジャズを全曲で感じさせてくれる力作。フリューゲルホーン、チェロ、アコースティック・ギター、それにハンスのピアノという編成が、平坦なようで飽きさせない不思議なアンサンブルを奏でる。断言しておこう。今、この素晴らしさが理解できなくとも3年後には理解できるはずだ。時代よりススんでいるとかいう意味でなく、かれは真に新しい音をクリエイトしているからだ。ハンスに比べれば、才能はずっと凡庸かも知れないが、同じブランバスのStewy Von Wattenwil Trioの作品は初々しいオーソドックスさが魅力。「Take Five」などをやりながらも40年の時代の違いを感じさせる演奏だ。