ストリングスをバックに、ともすればイージーリスニングと誤解されそうなほど甘く美しい世界が展開されるのが、この作品。1964年の録音だからオリエンタル路線のあと、古巣のジョージ・シアリング的世界に戻ってきたともいえそうだ。アレンジのクラウス・オーゲルマンは、これ以前にアントニオ・カルロス・ジョビンのアルバムのアレンジャーとしてヴァーヴに作品を残しており、それを聴いてカルはクラウスの起用を決意したという。実際、「This Time the Dream's on Me」など、完全にボサノヴァのアレンジだ。夏の夜、ベッドに入ったときにかけたらぴったりの1枚。