カル・ジェイダーがVerveに移籍に新境地を開いた名作「Breeze from the East」(archive.04で紹介)ほどではないが、これもジャケットに見られるようにオリエンタルなエキゾティシズムが入った作品。レス・バクスター作曲、マーティン・デニー・グループの演奏で「Quiet Village」が大ヒットしたのが1959年。本作の録音が1963年だから、まだ十分にエキゾ流行の波は引きずっていたわけだ。ホレス・シルバー作曲の「Tokyo Blues」とかクインシー・ジョーンズ作曲の「Hot Sake」(熱燗ね)など、タイトルにもそれは窺えるが演奏はずっと正統派。たぶん編曲にラロ・シフリンを迎えたということにもよるのだろう。たしかにトータルな構成は見事だが、僕個人はシフリンの編曲に特徴的な音の厚み、とくに大仰なホーンなどあまり好きではない。(数多い日本のシフリン信者から袋叩きにあいそうだ)だからホーンのあとにヴァイブ、ベース、ピアノ、ドラムスのシンプルな構成になると途端にどの曲もクールで格好良くなったように思える。それにしてもジャケットは最高。