マンボやチャチャチャなど、ラテン・フレイバーの作品でファンタジーからデビューしたカルが、もっと正統なウェストコースト・ジャズを試みた作品がこれ。A面は1954年、サンフランシスコの〈マリーンズ・メモリアル・シアター〉で収録されたもの。B面は1955年に〈バークレー・リトル・シアター〉で録音されたものだ。QuartetとQuintetの編成で両方とも録音されており、Quartet編成のときのカルは、なんとドラムを叩いている。A面には、僕が「All the Things You Are」の次に好きなスタンダード曲「I've Never Been in Love Before 」が収められていて、この曲が聴けるだけでも買いの1枚だ。ちなみにこのアルバムが作られた背景は、トロンボーンのボブ・コリンズ、テナーのブリュ・ムーア、ギターのエディ・デュランがシスコ周辺で活躍しており、カルが彼らとのプレイを希望したことによるという。まさに「Tjazz」アルバムである。