カル・ジェイダーは、きわめて多才で1954年の初期の録音ではドラムを叩いているが、ここではいきなり彼のピアノ・プレイの曲で始まる。ヴァイブをやってピアノを弾いて、というとエディ・コスタを思い浮かべるが、エディのピアノはジャズ評論家(という人種がくせ者だが)の間では、あまり評判がよくない。僕自身はエディのピアノもアルバムによっては大好きだ。ところでここでのカルのピアノも悪くない。もともとセンスのいい人間は何をやろうと、それが多少ヘタではあっても、悪くなろうはずがないのだ。カル自身が作曲した曲を多く収めた本作は、ギターのエディ・デュランが参加しているせいか、ラテン色の強いカル・ジェイダー作品とはイメージが異なる。僕自身は何よりもTストラップのハイヒールを履いた美しい脚とシュミーズ! がかいま見えているところが愛嬌の、このジャケットが最高だ。