「Softly」
Armondo Trovajori
RCA Itariana

アルマンド・トロヴァヨーリの信じられないほどの再評価は、1992年に彼がサントラを手がけた『黄金の七人』が日本でCDとして復刻されてからのことだ。以降、ちょっと小洒落た若者たちで、この名を知らぬものはいないほどになってしまった。先頃も『女性上位時代』の再映、及びサントラ復刻で、またも(都市部のみで)話題をさらったというところだ。ところでトロヴァヨーリは、1948年にサンタ・チチェリア音楽院のピアノ科を卒業した翌年には、パリで開かれた第1回国際ジャズ・フェスティバルにイタリア代表としてトリオ編成で参加している。しかしその後、ポピュラー・ミュージック、なかでも映画音楽に心血を注いだ結果、ジャズ界からは、まったく評価されずに忘れ去られてしまった。本作は1994年に復刻された「ITARIANA RCA」シリーズの1枚。フルートやヴァイブも入った編成で、ちょっと聴くかぎりではパシフィック・ジャズあたりからリリースされたものと勘違いさせるほど、洒落た音づくり。選曲も「The Nearness of You」や「I can't Believe」などジャズ・スタンダードばかりで、トロヴァヨーリもピアニストに徹している。彼の生涯でも最良の録音のひとつではないか、と思う。1959年録音。