「Magic Moment〜at "La Capannina"」
Armondo Trovajori
RCA Itariana

今回はトロヴァヨーリの「ジャズ作品」を2作も取り上げてしまった。ジャズ人名辞典にも載らない、この作曲家、ピアニストが、何故、今これほどまでにウケるのかはよくわからない。もっともクラブ/ラウンジ系でウケているのはサントラやREMIXもので、トロヴァヨーリが数枚だけ残したジャズが評価されているわけでもない。(どっちでもいいのだ。正統派ジャズファンは、こういうのに興味を示さないし、クラブ系にはネタもののひとつ。見事に両者をつなぐ糸が切れているわけだ)生涯に150曲以上もの映画音楽を量産!したトロヴァヨーリに、どれだけの真摯さがあったかはわからない。ショービジネスの世界では、そんなものは必要もなかろう。トロヴァヨーリは1962年に女優ピア・アンジェリと結婚した(僕の大好きな女優だ)。しかしアンジェリにとってこの結婚は幸福なものではなく1971年9月に自殺している。
まあ、そんな私生活は音楽に関係ないだろう。オーケストレーション入りのこのアルバムの軽妙洒脱さは、文句なく評価すべきものだ。イタリア映画が活気あった頃、音楽もこれほど活気があったのか?と思わせる1枚である。ちなみにこの1994年の「ITARIANA RCA」復刻シリーズのなかでは、ムッソリーニの息子でジャズ・ピアニスト、ロマーノ・ムッソリーニの作品も含まれており、これも貴重な資料だ。