パオロ・スコッティの監修・選曲によるこのアルバムは、おそらく今年の前半、Soulsticeを聴く以前のリリースでベストと言えるものだろう。まず、タイトルがいい。「リヴィエラ・ジャズ」だ。昔、ツィッギー主演、ケン・ラッセル監督で1920年代のミュージカルの舞台裏を題材にした『The Boy Friend』(71)という映画があったが、そのなかに「The Riviera」という曲があった。当時の金持ちの保養地リヴィエラへの憧れを歌ったものだ(ちなみにRCAのオリジナル盤にはリベリアと誤記されているところが笑わせる)。で、そんな保養地とジャズを結びつけ、JET SET風なジャケ・デザインでまとめるあたり、かなり今の気分といえるだろう。だが、お洒落なだけではない。アーチー・シェップの曲が、まったく現代の曲であるかのように蘇り、チェット・ベイカーの「My Foolish Heart」などは、極上の選曲と讃えるべきものだ。40数年前、この声とトランペットに女のコはオチたのだ。古いジャズ・ナンバーのリミックスだけでなくNU SPIRIT HELSINKIの「Orson」などのラウンジ系やButti49のブラジリアン・ジャズ、ボッサ・スキャットなど、イマものと古い作品が混然一体となって調和している傑作。パオロ・スコッティのセンスが窺える1枚だ。