マーティン・デニーやアーサー・ライマンは聴いていても、なかなかこのジーン・レインズには行き着かない。しかし、この洒落たジャケット・デザインでもわかるように、ジーン・レインズのサウンドも彼らに劣らぬ洗練されたエキゾものだ。アーサー・ライマン同様、ヴァイブ奏者であるジーンをリーダーに、彼らは1950年代、ワイキキの有名な「ハワイワン・ヴィレッジ・ホテル」で演奏活動をしていた。それがのちにアルフレッド・アパカに認められて、デッカに吹き込んだのがこのレコードである。オージー・コロンのような野鳥の鳴き声が入ってないのが淋しいが、それ以外では、きわめて見事なエキゾものであり、ライマンやマーティン・デニー同様、ジャズの素養もあって、どの楽曲の演奏もいい感じだ。レス・バクスターの曲を取り上げているのも前二者に近い。ちなみに「MAPUANA」「SHANGRI-RA」「OFF SUORE」等の名曲が入っているのも嬉しい。