スティール・ドラムものの音楽は、ヤン冨田氏の音楽あたりで知った人も多いのではないだろうか。カリブの島国、トリニダードトバゴで生まれた楽器で、(ちなみに僕は、子供の頃からこのトリニダードトバゴという言葉の響きにいたく惹かれ続けた)、現地では「スティール・パン」、あるいは「パン」と呼ばれるのが一般的だ。ドラム缶の窪みの叩く部分によって音階が違うことが、偶然発見され、1930年代から徐々に楽器として発達してきた。現在では30以上の音階を半音域も含めて表現できるといわれている。メロディーを担当するパンから和音やベース音を担当するパンまで、同じように見える、この楽器も実に多種多様で、さまざまな音色を奏でる。
このThe Original Trinidad Steel Bandは、アナログ盤のなかでは、よくみかけるほうだが、それはこのバンドが数年間アメリカで活動したことによる。その時期、カーネギー・ホールで公演し、そしてこのアルバムをレコーディングした。ちなみにCDでもスティール・ドラムものは、数種類発売されているので、そのあたりから入ってみてはどうだろう。