「Bwana a」
Arthur Lyman
HiFi Records

7月17日発売の『BT・美術手帖』に「アメリカニズムが取り込んだ〈エキゾティカ〉という別世界」という原稿と「未来への道を走ったドリーム・カー」という原稿を書いたので、それにちなんで今回は最新ものの音と、エキゾものという両極をピックアップした。で、エキゾものとしてハワイ出身のヴィブラフォン、ギター奏者、アーサー・ライマンの「Bwana a」を取り上げたが、10数枚持っている彼のレコードのなかで、どれを選ぶかはほんとうに一苦労だ。どのレコードを聴いても、ある一定のレベルは保っているし、似てるといえばみな似てるのだ。ただしジャズに取り組んでいる数枚は、いわゆるエキゾ系とは一線を画し、これはこれで是非、聴いていただきものだ。ジャズ系のものでは「Leis of Jazz」が現在、CDでも入手可能。この「Bwana a」は比較的初期の録音と思われるもので(オリジナル・プレスには録音年のクレジットがない)、波の音を入れたり野鳥の音をいれたりエキゾ風味がたっぷり。しかも「荒城の月」や「お富さん」など日本の曲をマーティン・デニーばりのアレンジでやって、かなり楽しめる。そして何よりもジャケットの良さで選んだ1枚でもある。