ルー・メッカのことは、数年前に当時のままに再発されたブルーノートの10インチ5000番台のなかのギル・メレ・クインテットのメンバーとしてだった。ギル・メレはジャズだけでなく電子音楽にも関わったMONDOな逸材で、いずれこの場でも特集したいが、そこできわめてクールで構築的なギターを弾いていたのが、このルー・メッカだった(ウェス・モンゴメリーなどの対極にあるといってもいいだろう)。16歳で高校を中退してプロのミュージシャンとなり、音楽学校でギターを教えていた彼の唯一のリーダー作がこの10インチ盤1枚のみなのである。なんと天才の評価されないことか! そのたった1枚のリーダー作(現在でもこれは入手が容易だ)のなかに、彼は「All the Things You Are」を残して置いてくれたのだ。このアルバムではヴァイブ奏者のジャック・ヒチコックも最高にかっこいい演奏をしている。ちなみに僕の好きなもう一人のギタリストはタル・ファーローだが、ギル・メレは、彼も自身のバンドに起用している。