前回に引き続きボサノヴァを最初に持ってきたのは、なんといってもこのマルコス・ヴァーリの新作がファー・アウト・レコーディングスからリリースされたからだ。アナログ/CD同時発売で、CDのほうがずっと安いのだが、このレヴューで取り上げたくてアナログを買った。1943年生まれ、ボサノヴァ第2世代と言われた彼も、すでに58歳ぐらいになろうとしているのだが、音としては若いときよりも、今回のニュー・レコーディングのほうが、断然カッコイイし、ほんとうに素晴らしい傑作だ。ルックスも渋くなったしね。Far Outは、いわゆるクラブ・ボッサ系にウケる音づくりをして、実際にJazzanova Remixものをコンピに入れたりしているが、このヴァーリの音のセンスもそのあたりだと思う。アコースティック・ギターからウーリツァー、フェンダー・ローズあたりまで弾きこなす自作自演のどれもが名曲揃いといって過言でない。2001年録音。