◎訂正とお詫び

本書刊行直後に都内でテーラーを営むという専門家の方から、ご指摘をいただきました。
p104「労働着はなぜ伝統的にブルーなのか?」の項で、筆者所有の古いフランスの
パンツの裾上げについて、キャプションで「ワーク・パンツの裾は、擦り切れ対策で
生地が二重になって補強して作られている」と記したが、
それが間違っているのではないか、というご指摘でした。

「擦れ切れの補強であるとすれば、この折り返しは別布をエッジに縫合するのが
単純な発想であり」、さらに「“二重”とはどこを指しているのか。おそらく折り返しと
みごろの間に入れられた“スレキ”を指して言っているのだろうと受け取ったのです」
という専門家ならではの着眼のあとに、
「折り返し中央にあるスラッシュ」が入っていることから、この“スレキ”は、
「パンツの裾に傾斜を与えて裾上げをする“モーニングカット”を施すためのものである
とかんがえられます」ということでした。

趣味での洋裁に多少の心得のある筆者としても、このご指摘はまさに正鵠を得たものであり、
“ワーク・パンツ”として業者から購入したことから「擦り切れ対策」と
思い込んでしまったことが間違いの原因となりました。
締め切り間際の作業だったとはいえ、歴史考証を試みた文章でこのような
誤りがあってはいけないことで、読者諸氏にお詫び申し上げます。
また、長文の丁寧な説明とともにご指摘くださったH氏に感謝します。

書籍に誤記や校正洩れがあってはいけないことは、重々承知しておりますが、
いくつかの間違いをここで訂正させていただきます。
○p164「衣装人形からモデル・エージェンシーへ」の項で、「モード雑誌が誕生したのは?
それは17世紀のことだが」と書いていますが、p166に書いているように18世紀の誤りです。
○p190 ビートルズの写真が裏焼きになっているのを気づかずに印刷に入れてしまいました。
リンゴ・スターのジャケットのボタンが逆になっています。

訂正するとともにお詫び致します。