2011. 10〜
2011年、冬のおもな仕事

サエキけんぞう×長澤均
「メディア社会とロック」獨協大学特別講義
 11月29日、獨協大学の全学特別講義で、「メディア社会とロック」について論じているサエキけんぞう氏に招かれ、モッズを軸に50年代末に英国に興ったユース・カルチャーとその社会的影響について対論を交えた講義。「ティーン・エイジャー」という概念そのものがアメリカのマーケティング・リサーチ会社が作った用語で、戦後いかに「購買層」として若者がチカラを持ち始めたあたりから、サイケデリック終焉まで。100枚以上のスライド写真と自作編集を含む4本ほどの映像を交えた、久々に充実の講義でした。

講義の中でのスライド・ショーの様子
CDジャケット・デザイン ジャズ、クラシック、現代音楽……。
diana panton
ダイアナ・パントン「昨日のわたし」
MUZAK

すでに3作品が紹介され人気のダイアナ・パントンのデビュー作。ジャケの色は普通のカラーを脱色していって、ノスタルジックなイメージにした。帯やレーベル含めて最高の出来といってもいいかしれない。音のほうも最高です。
poulenc
碇山典子「プーランク ピアノのための作品集 I」
Camerata

もともとプーランクは好きだし、このアルバムは選曲が特に良い。前半の軽快な曲に合わせたイメージで、セベルジェというパリの1910年代の写真館の作品をジャケに使った。36曲目に素晴らしく美しい曲があり、これだけでも買う価値あり。
janet seidel
ジャネット・サイデル「ペギー・リーの夜」
MUZAK

ジャネット・サイデルの日本デビュー作で長らく廃盤になっていた本作がリ・デザインにて再発。全体のトーンは50年代のCapitolレコードのジャケット・イメージ。音もサイデルのなかでは大人っぽい落ち着いた作品。
diana panton
ダイアナ・パントン「フェリシダージ~わたしが愛したブラジル」
MUZAK

9月にリリースし、セールスも好調なこのダイアナ・パントン作品も日本でのリ・デザイン盤。夕暮れ時のボッサノヴァの気分といってしまえばそれまでだけれど。こちらも全曲素晴らしい作品で、こういう作品のデザインに関われるのは幸福だ。
milos bok
ミロシュ・ボク「クレド」
Camerata

チェコの作曲家、ミロシュ・ボクの作品を紹介する初のCD。アーティスト写真にあまり良いのがなく、デザインするのが難しかった作品。宗教性とチェコっぽさ(国旗の色が赤、青、白)を色帯の構成で表現した感じ。
petra van nuis
ペトラ・ヴァン・ナウス&アンディー・ブラウン「いつも二人で」
MUZAK

女性ヴォーカルとギタリストによるデュオ作品。ペトラ・ヴァン・ナウスのほうは、声も可憐で悪くないが、ギターが全編、少々うるさい。ジャケもほんとうは彼女だけの写真を使いたかったのだけれど。セールスにも多少、影響した気がする。
 






綿村松輝「…Svaha(娑婆訶)」
ALM

現代音楽の作曲家、綿村氏の希望は曼荼羅と般若心経、サンスクリット文字などを使ってくれ、というもの。というのが、この「裟婆詞」というタイトルが仏教の世界に由来するものだから。渋いデザインになってしまった。
碇山典子「プーランク ピアノのための作品集 I」
/レーベル
トレイ下
「プーランク ピアノのための作品集」のレーベルはマットの白を前面に敷き、主な文字は盤面のシルバー抜き。Poulencの文字のみマットではなく、ツヤありの白で乗せた。だから白地の上の白文字なわけで、角度を変えると微妙に光って見えるというもの。いままでのレーベル作品では最上の出来だと思う。ちなみにトレイ下は、人のいない公園風景で、ジャケの子供たちの遊ぶ公園とイメージは一続きながら、まったく異なる光景、という演出。バックカヴァーは朝霧に煙る1920年代のセーヌとエッフェル塔。
ダイアナ・パントンの「昨日のわたし」のレーベルでは、半透明のゴールドを外側に敷いた。内側に色を敷き、外側は盤面シルバーというCDはすごく多いのに逆はみないなあ、と思ってデザインしたもの。なんかレコードのような感じがして気分が良かった。
バックカヴァー
ダイアナ・パントン「昨日のわたし」/レーベル+トレイ下
ジャネット・サイデル「ペギー・リーの夜」/レーベル+トレイ下
『モノ・スペシャル ワークウエアNo.6』「革命の衣服、衣服の革命」
『モノ・マガジン』別冊の『ワークウェアNo.6』では、前回の「戦争とファッション」が好評だったので、今回はロシアのワークウェアの歴史がテーマ。
 といっても1917年のロシア革命前後からの、いわゆるロシア・アヴァンギャルド、ロトチェンコやステパーノヴァらのデザインによる革命的労働者服は、いろいろ資料があるけれど、他は皆無。海外の古い文献などを半年かけて漁って、革命前のロシアの服飾産業の歴史から掘り起こし、革命前後の労働着の実態、さらにロシア赤軍の制服制定の経緯あたりまで調べ起こすことができた。僕は服飾学会とかに所属していないので、論文に関してはわからないが、そうでない印刷された文章で、ここまで掘り起こしたものはないほど画期的なロシア労働者階級ファッション史になったと思う。
russian avant-garde
russian avant-garde
russian avant-garde
russian avant-garde
russian avant-garde
russian avant-garde
「2012-13AW 2012SS ファッション・カラー・セミナー」
 前回に引き続き、「日本色研事業」が年2回開催する流行色とファッション・トレンドのセミナー(2012-13年秋冬)のリーフレットをデザインした。前回の発色がよいポップな色づかいから、今回は発色には気をつかいながらも、ぐっとシックな印象にしたかった。用紙にOKアドニスラフという、ざっくりとした質感の微塗光紙を使うことで、手触りもよく、風合いのある仕上がりになった。
パンフレット・デザイン
日本色研事業
 
「地球支配階級が仕掛けた悪魔の世界戦争ビジネス」
 同じ著者による前著『地球支配階級が仕掛けた悪魔の金融恐慌ビジネス 』のセールスが好調で、その続編ともいえる本著の刊行が決定。デザインもシリーズとして考えてほしいとのこと。タイトルも似ている。打ち合わせ中に思いついたのが16世紀ドナウ派のアルブレヒト・アルトドルファーによる壮大きわまりない戦争画『アレクサンドロス大王の戦い』。結局、デザイン・カンプは、アルトドルファーの絵を使ったもので簡単にOKが出てしまった。前作が黒に近い暗いブルーを基調にしたので、今回は赤を基調に。アルトドルファーの絵もモノトーンにして赤をのせたのではなく、彩度を落としたカラーに赤を乗せたので、書店で実物を見れば、色の深みの違いがわかると思う。タイトル文字は、前回の「赤金」から「青金」に変更。
ブック・デザイン
学研
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