2011. 07〜
最近のおもな仕事

 繊研新聞社主催の国内最大級のファッション展示会JFW International Fashion Fair(JFW-IFF)のタブロイド・ペーパーのデザインを引き続き担当(開催は7月20日〜22日、東京ビックサイト)。表紙や中のモデル・シューティングは、都内のハウス・スタジオで。スポンサーからの商品を使用するので、スタイリングと写真で、それをうまく生かしながらも独自の世界を築こうと考えた結果が、掲載したシックなテイスト。ファッションはとくにシックでなくともトーンのテイスト等で雰囲気を合わせた。本文ページは欧文主体にして前回とはかなりイメージを変えてみた。

Photo:Masashi Ikuta  

2011.7 JFW-インターナショナル・ファッション・フェア、タブロイド・ペーパー
前回同様、紙面のアート・ディレクション、
フォト・ディレクションも担当。


Photo:Masashi Ikuta


 「世田谷芸術百華」は毎年9月〜11月に世田谷区内各所で行われるカルチャー・イベント。このポスターとパンフレットのデザインを担当。ポスター案は、芸術百華の事務局で、6案ほどプレゼンし、それを事務局の人たちが採決で一つずつ落としていくという方式で面白かった。ちなみに次点は芸術とか音楽という文字を限りなく左右対称に描き起こし、折って立てたようなもので、これも作りたかった。決定案は、キーワードをアクリルの立体文字に切り出して、打ち放しコンクリートの壁に貼りつけて、それを撮影したもの。晴れている日にしか撮影できないし、影の具合とかけっこう難しかった。パンフレットのほうは、このコンクリートをそのまま地紋に使って、こちらも昨年のものよりグレード・アップできたように思う。
世田谷芸術百華2011 HP
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/menu/life/i120306.html

切り出したアクリルの立体文字をコンクリートの壁に配置し、
撮影した。
「世田谷芸術百華2011」A3ポスター
世田谷区
「世田谷芸術百華2011」パンフレット・デザイン
世田谷区
 学研は『ムー』の編集者と仲が良く、陰謀説などの話では延々、盛り上がるのだが、今回の装丁はもっと真面目な本。でも編集サイドとしては、本屋で目立つようにという要望だったので、まずオイルから赤と黄色主体のデザインを思いつき、そのあとノイジーな英文フォントを、そして『石油崩壊』のタイトルにはクライシス感を感じさせるノイズを入れていった。ブック・デザインはいつもひとつの「物質」を作っているつもりでデザインするので、表紙の紙も黄色のマイカレードという色紙に暗いブルーを乗せて、ダークなブルー・グリーンのなかに黄色の地の色が浮き立つように工夫し、見返しにオレンジのタント紙、総扉にイエローオーカーのNTラシャで、どれもがオイルという言葉の変奏になるような色の展開を考えた。「はなぎれ」や「スピン」への気遣いは上の写真をご覧あれ。
「石油崩壊」ブックデザイン
学研

ヴォルフガング・シュルツ
「フルート四重奏によるモーツァルト『コシ・ファン・トゥッテ』」
Camerata

カメラータからのヴォルフガング・シュルツ・シリーズの最後はモーツァルト。1作目のハイドンのとき、モーツァルト的ともいえるバロック建築の天井画を使ったので、ここではロココの画家ランクレの「恋人の心はなんてかわりやすいのでしょう」という絵の部分をアップにして使った。このCDのタイトルである歌劇『コシ・ファン・トゥッテ』が艶笑喜劇的な内容なので、この絵がぴったりと思った所以。バックカヴァーには同時代のオペラ劇場の絵を探してきて地に敷いた。デザイン以前に素材となる図版を探す知識と手間が必要な仕事でもある。
長尾洋史「長尾洋史 リスト&レーガーを弾く」
ALM

正直、作曲家マックス・レーガーについては知らなかった。暗く抽象的なイメージでというのが、演奏者並びにALMのディレクターからのオーダーで、これは大理石の写真を使った。じつは8案くらい同時に作っている。CDの内容も良かった。
スーシ・フルゴール「MAGIC WORDS 恋に落ちる11の呪文」
MUZAK

スーシ・フルゴールはデンマーク出身のジャズ・ヴォーカリスト。自分でも作曲するが、本作はすべてスタンダードからポップスのカヴァー集。トレイ下からレーベル盤面のスノー・シルバーまでクールさを意識したデザインにした。
 レギュラーのファッション誌『FUDGE』は、毎月レイアウト依頼の編集スタッフが数人でローテーションのように変わるが、新人スタッフが担当になった場合、いままでの『FUDGE』にはない新たな方向性のレイアウトをオーダーしてくることがある。たとえディレクターからダメ出しをくらっても、試行錯誤しながらも、そういった新しいことに取り組むのは楽しい。今回は、洗練とかお洒落とかからちょっとずらして、少しバタ臭くポップな路線を意識してのレイアウト。

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