2011. 06
2011年、6月くらいまでのおもな仕事


 横尾忠則さんの「絵人百九面相」と題された展覧会が、6月1日より岡山県立美術館で開催(7月より高知県立美術館に巡回)。昨年の国立国際美術館での「横尾忠則全ポスター」の図録のレイアウトのリズムを横尾さんがとても気に入ってくれて、今回は、横尾さんが美術館にデザイナーを指定するというカタチでデザインを担当することになった。厚いボール紙の表紙を布の背でつなぐという体裁。この背の布の色から見返しのアズキ色あたりはとても良い感じにできたと思う。収載した絵画作品の大小の流れもほとんどそのまま横尾さんのOKが出て、楽しい仕事だった。
『横尾忠則展─絵人百九面相』図録デザイン
岡山県立美術館/高知県立美術館
横尾さんがツイッターにつぶやいた言葉なども絵にあわせてレイアウトに取り込んだ。しかもバラバラのQ数で。こういうことを面白がるのが横尾さんらしいところ。
『横尾忠則展─絵人百九面相』A4フライヤー+招待状+封筒等
岡山県立美術館/高知県立美術館

ポスターやフライヤーのオモテ部分は当然、デザイナーでもある横尾さんの手になるので、その他の部分を担当。招待状も岡山と高知では二つ折りだったり、カードだったりと微妙に違う。封筒は高知だけ。横尾さんというとなぜか赤い色を思いついてしまう。
宇宙卵を抱く

 パピエ・コレがWebサイトを作ったマーケティングの会社BMFTが、出版部を設立。その第2弾となる単行本『宇宙卵を抱く』(山本眞人 著)の造本・装丁をやった。内容は80年代以降の知の動向を踏まえた堅いところもあるので、BMFTの大橋さんから「軽い感じのデザイン」というオーダー。ドゥルーズ=ガタリのリゾームの概念についても触れているが、そこからリゾーム(地下茎)ではなくアレクサンダー・カルダーの作品にイメージが連鎖し、そんな絵柄を使ってデザインした。UV加工という技術で月や太陽や星の部分だけニス塗りのようにテカっている。
『宇宙卵を抱く─21世紀思考の可能性』ブックデザイン
BMFT出版部
『週刊読書人』新聞五段広告デザイン
Ann Burton
アン・バートン「1980〜オン・ザ・センチメンタル・サイド」
MUZAK

オランダのNISV(音楽・映像協会)アーカイヴから発掘されたアン・バートンの未発表音源の第2弾は1980年、母国の劇場とラジオ局で録音されたもの。ジャケットもそんな円熟期のバートンを感じさせるものにした。
Milhaud
ミヨー「屋根の上の牛」〜4手のためのピアノ作品集
CAMERATA

ドビュッシー、フォーレ、デュレ、ミヨーの4人のフランスの作曲家の作品を、イタリアのピアニストが演奏したもの。とくにミヨーの作品は作曲家自ら4手での編曲をしたもの。そのミヨーからイメージして戦前のパリを感じさせる写真でデザインを構成した。
Haydn
ヴォルフガング・シュルツ
「ハイドン:2つのリラ・オルガニザータのための協奏曲&ノットゥルノ」
Camerata

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席フルート奏者のヴォルフガング・シュルツが、「リラ・オルガニザータ」という楽器のために作曲されたハイドン作品をフルートとオーボエに置き代えて演奏したもの。表紙にはハイドンの時代にあわせて南ドイツにある聖フランチェスカ教会のフランツ・ルートヴィヒ・ヘルマンによる優美な天井画を使った。
Ann Burton
アン・バートン「メモリアル・アルバム 1966-1988」
MUZAK

NISVアーカイヴ発掘音源の最後を飾るのは1966年から晩年の88年までの未発表音源を集めたもの。デジパック仕様なので帯なしでシールドにステッカーで解説を入れるデザインに。写真はこれぞ!というものを表紙と裏にも。
Beethoven
J.Jカントロフ&上田晴子「ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ全集2」
ALM

ジャン=ジャック・カントロフによるベートーヴェンのソナタ全集の第2弾。その間、指揮活動に専念することがニュースになったが、このシリーズは4作で完結予定。1作目の本の表紙、そしてこれは森といったぐあいになんとなくストーリーを描いてデザインしている。
Weber
ヴォルフガング・シュルツ
「ウェーバー、フンメル、メンデルスゾーン:フルート三重奏曲集」
Camerata

カメラータによるヴォルフガング・シュルツ・シリーズ第2弾は、ウェーバー、フンメル、メンデルスゾーンという3人のドイツ、オーストリア圏の作曲家の作品を演奏したもの。ロマン派といっても音楽と絵画では多少、盛期の年代はずれるが、ドイツ・ロマン派絵画を代表するフリードリヒの作品を表紙に使った。黄昏の気配が良い絵画。
Italia

 世田谷美術館のミュージアム・コレクション・シリーズで、今回はイタリアの6人の作家をとりあげた展覧会の、これはA3二つ折りパンフレット。エンツォ・クッキやフランチェスコ・クレメンテやサンドロ・キアなど好きな画家が出品している。だから、こういう仕事は何にもまして楽しい。
italia
世田谷収蔵品展「イタリアの部屋で見る夢」A3二つ折りパンフレット。
世田谷美術館

「2012SS 2011-12AW ファッション・カラー・セミナー」
パンフレット・デザイン
日本色研事業
 カラーチャートなどの発行で知られる「日本色研事業」が年に2回、全国で開催する流行色とファッション・トレンドのセミナー(2011-12年秋冬)のリーフレット。それまでのものが地味だったので、OKブリザードというクラフト系の紙に蛍光オレンジのインクをつかいポップで強いデザインを試みた。3色/2色のオモテ・ウラの折りをずらすことによって折ったときにオモテにウラの蛍光オレンジが少し出るというギミックを使った。
FUDGE FUDGE
FUDGE
「FUDGE vol.96, 97」レイアウトデザイン
 ファッション誌『FUDGE』のレイアウトも初期のガーリー・テイストから徐々に変化してきている。毎月レギュラーでレイアウトしているが、最近担当ページ数が増えてきているのは、今までのオシャレでかわいいレイアウトに加え、楽しさという点でパピエ・コレのデザインがマッチしているからだと思う。毎回とくににこだわるのは、フォント選びとその文字の組み合わせ。『FUDGE』らしくなくても、つねに自分たちが新鮮と思えるデザインを提案することが重要だ。姉妹誌『FUDGE Sis』創刊号ではニュース・ページのフォーマット・デザインも担当。今までの『FUDGE』のニュース・ページと印象を変えるため、タイトルロゴはカリグラフィやヘルベチカ系書体を織りまぜた。また中心から放射線状に伸びるケイ線とタイトルロゴを組み合わせることで、モダン+ちょいガーリーな雰囲気に。
 「FUDGE Sis vol.01」
 フォーマット+レイアウトデザイン
「FUDGE vol.94, 96」レイアウトデザイン
FUDGE FUDGE
 copyright ©1997-2011 papier colle.s.a. All Right Reserved