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長澤 均による雑誌原稿 パピエ・コレの著作

2009. 08
『+Designing Vol.18』「レイアウトの巨匠たち」

 『+Designing』(毎日コミュニケーションズ)から、「レイアウトの巨匠」たちについての評伝コラム原稿依頼。いいじゃないスか! アレクセイ・ブロドヴィッチからデヴィッド・カーソンまでの幅を書けるライターは日本には、僕ひとりしかいない、と断言できる仕事だ(柏木博にはまったく無理・笑)。しかもブロドヴィッチが手がけた『Harper's Bazaar』など、彼がADを始めた当初の1930年代の雑誌からコレクションしているから、雑誌コレクションで古本屋を開業できるくらいだ。
 計4ページのコラムで取り上げたのは、アレクセイ・ブロドヴィッチ、ファビアン・バロン、アレクサンダー・リーバーマン、ルー・ドーフスマン、ネヴィル・ブロディ、イアン・スウィフト、デヴィッド・カーソン、ヨルゴ・トゥルーパスの8名。
 ブロドヴィッチの偉業を引き継ぎ『Harper's Bazaar』その他のADとして活躍しているファビアン・バロンは1990年前後のデザイン思潮を代表する人物だし、こちらがハイ・カルチャーの世界で成功したとするならば、もっとインディペンデントな世界から出てきたのが80年代のネヴィル・ブロディであり、そのアシスタントを経て独自の「アシッド・ジャズ」テイストのデザインを作り上げたイアン・スウィフトである。
 同じようにインディーズをベースにした先鋭的なデザインは90年代のアメリカ西海岸のデヴィッド・カーソン、そして 2000年頃からはフラット・デザインを日本風の「ノン・デザイン」ではなく、アヴァンギャルドな実験性としてフランスで活動を始めたヨルゴ・トゥルーパスなどがいる。ここで扱ったのは一方ではデザイン界の巨匠として名を成した人物(ブロドヴィッチ、リーバーマン、ドーフスマン)であり、もう一方はストリート・カルチャーから世界の雑誌デザインに変革をもたらした先鋭たちだ。メジャーかマイナーか、などといった卑小な視点ではなく、その時代にどこまで先端をひた走り、世界のデザイン潮流に影響力を持ったか? という視点で人選したところが、今までになかったものと思う。
 誌面構成も手持ちの当時の雑誌のレイアウト誌面を掲載しながら、その経歴を紹介するという構成にしたが、『THE FACE』や『Straight No Chaser』などは、当時のものを保存してなかったら今では古本屋にも出ず、最も掲載しづらい部分だったと思う。
 デザインというものに創造的未来が存在するのかどうかわからないが、ある時期に最良の「現在」と、あるべき「未来」のデザイン的クリエイティヴィティを世に問うたデザイナーたちの小伝と作品を一読していただければ幸いだ。

2009. 08
『モノ・マガジン』9-16「デザインで勝負する」

  モノマガ連載「デザインで勝負する」の最終回。同じジャンルのアイテムで心惹くものを5アイテム探さなければならないというのは、かなり過酷な作業で、よくもまあ6回も連載できたと思う。トレンド的な意味だけで言えば、今回の「キモ」は「ボディ・バッグ」と「ワークキャップ」だった。写真の大小はこちらで良いと思ったものを大きくできるわけではなく、とくに椅子などは先方のプレス用写真データの大きさによってレイアウトも左右されてしまった。「ガーデン・チェア」などがその例。ショップをいろいろリサーチしてまわるのは面白かったが、『モノ・マガ』には出したくない、というラグジュアリー系ブランドの多さには閉口した。ま、ブランド・イメージを崩したくないというのはわかるけれど、結果、ベルサーチみたいに日本撤退になってしまったら、もっと最悪なわけで(プレスも失職なわけで)プレスの人たちももっと考えたほうが良いと思う。
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