V&Aから復刊されていたエルザ・スキャパレリの自伝の日本語版が、ブルース・インターアクションズから刊行されることになり、その翻訳監修をした。エルザ・スキャパレリは1920年代から1950年代に世界的な成功を収めた女性クチュリエで、シュルレアリストらとの親交も深かった。作品もサルバドール・ダリやジャン・コクトオとコラボレーションしたものなど、アヴァンギャルドな側面も強いが、一方、古典的な美しさでも群を抜いていた。1954年に引退し、メゾンを閉鎖したため、忘れられてしまったが、その作品群はモード史に完全に復活されるべき質のものだ。スキャパレリの文章はけして読みやすいものではないが、なんとかわかりやすい日本語にした。注釈には膨大な労力を注いだので、そちらの読みでもある自伝になったと思う。 |