2008. 05
『+Designing Vol.11』「特集 文字とロゴデザイン」

 『+Designing』というデザイン雑誌が、ロゴの特集をやるということで、6ページ、編集と執筆を担当した。もともとタイポグラフィの歴史は好きで、ある専門学校で教えていたときも、中世に遡って歴史を教えたりしていた。今回の企画の目玉は、マラルメの詩集『骰子一擲』のタイポの実験から始まって、20世紀のそれぞれのディケイドを特徴づけるカルチャーとタイポの結びつきを追った最後の見開きだと思う。ヘルベチカやユニヴァースのような「王道」の歴史とは、また別のストリートの歴史もここには含まれている。これもまた「オルタナティヴ・デザイン史」のひとつだと思っている。
+Designing
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今月のRecommend
Schema Sextet styrofoam
●「The Devil, You + Me」
 The Notwist

ドイツ出身のThe Notwistの新作がリリースされた。4人組のこのバンドは不思議な経歴を辿っていて、初期はハードコア・パンク的なものだったらしく(未聴)、その後、プログラミング担当のマルティン・グレヒェンマンの電子音を大胆に取り込んで、エレクトロニカのバンドに変身してゆく。2002年にリリースされた「Neon Golden」は、そうした音作りが見事にハマった傑作だった。全曲、メロディも良く、アコースティックとエレクトロニカのバランスも素晴らしいものだった。このところのフォークトロニカの風潮もあって、今回の「The Devil, You + Me 」は、よりアコースティック色が強く打ち出されている。メロディもどれも良い。でも、やはり「Neon Golden」には、かなわないと思う。現在はエレクトロニカの過渡期なのだ。
●「A Thousand Words」
 Styrofoam

僕がエレクトロニカの金字塔と思っている2004年の「Nothing's Lost」から4年を経て、Styrofoamの新作がリリースされた。「Nothing's Lost」にはThe Notwistのマーカス・エイチャーも参加していたし、Death Cab For Cutieのベン・ギバートも参加していた。とてつもないメンツが勢揃いしていたのだ。今回はMorr MusicからNettwerkへとレーベルを移籍しての新作だ。Morrがアコースティック寄り過ぎてきたこともあるのかもしれない。アーネ・ファン・ペテゲムは、本作にはゲストにジム・アドキンスや女性ヴォーカルにエリカ・ドリスコルを迎えて、ほんとうに良質な作品を作っていた。でも、これは「Nothing's Lost」の延長線上にあるのだ。延長にある以上、元を超えることはできない。これもまた過渡期を思わせる作品だ。誰が次の時代をつくるのだろう?
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