2007. 09
その気にさせるデザイン:『デザインがわかる』NO.1

 デザイナーとしては「デザインがわかる」という発想自体が、よくわからないのだが、単行本でもそんなタイトルの本が出ているくらいだから、世の中にはデザインがわかりたい人も沢山いるのだろう。僕にとってのデザインは、在るか無いか、好きか嫌いか、クリエイティヴかそうでないか、ぐらいだ。
 そもそもは編集者から何か書いて、と言われて「デコ電!」と即答したのが始まりだ。デコラティヴなケータイ電話。究極の装飾趣味だし、デザイナーズ・ケータイなるものの流行への徹底的なアンチと思えて面白かったから。この企画はすぐに通って、そんなケータイを持っている女のコ探し。ま、かなり軽めだけれど僕なりにこうした流行が生まれるここ4〜5年くらいのデザイン状況みたなものも書いておいた。
 もうひとつは編集部からのオーダーで「その気にさせるデザイン」というテーマ。こっちは、かなり苦労した。なにしろこのムックの発売元は、あの「モノ・マガジン」の会社だからモノの情報は溢れている。でもそういうモノ情報から抜け落ちているものを精選した。これはもう僕の原稿というだけでなくパピエ・コレ総出のリサーチ+取材。校了日を間違えていたので、書くのは一晩。情報を整理しながらリズムの良い順番を決め、5ページもの原稿を一晩で書くのはかなり難儀だった。その分、スピード感ある文体にはなったかも。レトリシアンとしては、それでいいのだ。
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