2006. 05
commons & sense issue30 特集:Traditional & Legend

 世界6ヵ国で発売されているCUBE INC発行のファッション誌『commons&sense』のissue30の特集が「Traditional & Legend」。この雑誌はともかく写真の展開の仕方が上手い。編集長の佐々木氏が、もともとカメラマン志望だったこともあってADも兼ねているからだ。
 彼と知り合ってから、毎回、原稿を頼まれるようになった。公言してしまうがファッションから映画、文学、美術、写真と得意分野は広く深い。佐々木氏は、雑談しながらこうした僕の抽斗から、うまくネタを引っ張り出してくれる。
 今回は「JAPANESE BEAUTY-SHISEIDO」と題して、資生堂意匠部(のち宣伝部)の歴史を書いた。もともと美大時代のゼミで意匠部や山名文夫は、研究していたこともあって、願ったり叶ったりの得意分野。6ページほどの特集だが、文章もコンパクトに上手くまとめられたので、これを読めば資生堂デザイン史の大まかなところはわかるだろう。
 じつは意匠部を作ったのは2代目の社長、福原信三で米国、フランスへと留学した彼は、写真家でもあった。こうした彼の欧米文化の知識と美学的センスが意匠部設立の契機となったわけだが、その写真はほんの少ししか知られていなかった。今回、彼のパリ時代の写真を一冊にまとめたものが1999年に出版されているのを知って入手。調べる側としては、この写真集が一番の収穫だったかもしれない。
 copyright ©1997-2008 papier colle.s.a. All Right Reserved