2004. 07
BOSE会員誌・ビスタ-二つの映画を繋ぐシューベルトの美しき音楽

 ボーズ会員誌『ビスタ』での映画に関する連載の第2回目は、スタンリー・キューブリック監督の「バリー・リンドン」(75)で使われたシューベルトの楽曲、 「トリオno.2 ホ短調作品100」をテーマに書いたが、たぶんこの話ってほとんど書かれてないんじゃないかなあ。18世紀の衣装、風俗を完璧に再現しようと試みたキューブリックは、その完璧さに反して、ここでは19世紀の楽曲をテーマに使ったのだ。 しかも映画的に編曲し直し、7分間、音楽だけをバックに台詞無しでストーリーを語らせる場面を作っている。この作品の最も美しいシーンだと思うが、案外、それについて書かれてはいない。個人的にいえばキューブリック監督作品で最も好きなこの映画と、あまりシューベルトらしくないこの曲が、どうつながったか考察してみた。 その後、「トリオno.2 ホ短調作品100」は何度か映画に使われてゆくことになるので、そのあたりの詳細も記してみた。今回は映画に使われたクラシック音楽のある1曲をテーマに、とけっこうコアな読み物になってしまった。
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