2004. 02
STUDIO VOICE - 雑誌文化伝説'70〜'80

 2月6日発売の『STUDIOVOICE』誌「雑誌文化伝説'70〜'80」特集に『papiercolle』が、掲載され、長澤自身も当時の雑誌数冊の解説も執筆した。また「雑誌文化オリジネーター証言録」というページでは、アンケートにも答えている。
 でも、このような特集で『papiercolle』が、取り上げられるのも珍しいことだ。82年の創刊号が3刷り、2号が2刷りまでいき、『朝日新聞』『BRUTUS』『anan』などのメジャー誌(紙)を含め、二つの号で30誌紙近くに取り上げられ、いまだにパーティなどで人と知り合うと、当時『papier colle』を買った。などという話をよく聞くにもかかわらずである。自分でもなぜなのか、とても不思議だ。
 僕自身は「サブ・カル」という言葉も意味も大嫌いで、トロツキストでありながらヴィリエ・ド・リラダンの高踏的な貴族主義に憧れ続けた。自分たちの美学・美意識は少数派かもしれないが、メイン・カルチャーに属していると思っていたし、今でも思っている。下北沢の雑貨屋に行くよりはBaccaratのショップで美しいグラスを見るほうが、よほど好きだ。こうした両極性が、日本の「サブカル」という田舎者文化から拒否されてきたような気もする。
 1996年に復刊した3号では、美学史を辿るようなかなり深い内容を相当数、自身で執筆したが、それで原稿依頼がくるということもない。もちろんデザインだって、あの時期の先端でもあったのは、ある程度、海外のデザインの先鋭を知っている人ならば了解してくれたことだろう。まあ、いい。こうして評価して掲載してくれた編集者、そして本文で「今も揺るぎなき雑誌美学を持つ、80年代の批評誌の金字塔である」とまで、書いてくださった仲世古佳伸氏に感謝すべきだろう。ときを同じくしてスイスに住む女性から『papiercolle』3号の注文が届いた。ボイス誌のこの特集を見たのかと思ったら、そうではなくネットの検索で見つけたそうだ。メールによれば創刊号の82年当時、彼女はパンク系の少女だったが、『papiercolle』を読んで「教養の深さと文面から長澤さんは50歳から60歳くらいの方だと勝手に思い込んで」いたそうだ。で、「今回Googleでお名前から検索する際に、もしも老衰でお亡くなりになっていたら……」と思ったそうな。思わず笑ってしまったが、案外そんな風に見ていた人も当時は多かったのかもしれない。
 老衰で亡くなる前に、必ず4号(つまり創刊号で予告した終刊号)を出すので、どうか憶えておいてほしい。内容は「様式の美学」。僕自身のこれまでのさまざまなジャンルにわたるコレクション、あるいは美学、政治(トロツキー!)、文学、すべてを数ページ単位で構成してゆく究極の個人的美学コラージュ。これを出せば、あとは土星にいけばいい。どうせこの地上に居場所などないのだから(〜GATTACA)。

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