2003. 07
オンワード・トレンド・セミナー 明治記念館

 昨年に続いて、今年も明治記念館で開かれた〈オンワード・トレンド・セミナー〉で、企業人向けにトレンド・セミナーの講師をした。昨年は20世紀デザインは21世紀に、どう引き継がれるか、というテーマでインテリアから家電、ファーニチャーからモードまで語ったが、今回は、一応タイトルは『最新の建築/工業デザイン等に見るバブルカルチャーの復興』。もっともそれほどバブル的なものが復興しているわけではないので、これはちょっ人寄せ用の大仰なタイトル。ただ、実際にニューリッチ層の出現がいわれ、富めるものとそうでないものの二極化も著しいし、高くておいしいレストランもそれなり流行ってはたして、これがニューリッチ層だけによるものだろうか? そんな疑問も湧いてくる。
●今回はシオサイトの高層建築から六本木ヒルズのエクレクティック(混交趣味)な様式、プラダ青山本店の斬新さ、そうした新しい名所?をガラス建築という切り口で、しかもそのなかでの善し悪しも批評した。
●建築に続いてはインテリア・デザイン界におけるモダニズムの終焉とネオ・クラシシズムの台頭、そしてそれ以上に先端の面白い現象として「ネオ・バロック」の予兆を紹介した。青山にある〈ル・フォブール〉は、フランス人デザイナーと日本人が組んだ店で、もともとはフランス資本。なかなか面白い店だ。バブル的事象としてキサナドゥーの盛り上がりなど巷間でかまびすしいが、もっとも中高年の過去への郷愁から溢れる汗を見たところで美しいはずもなかろう。クラブなどでの大箱復活という事象はあっても、なにせ音楽のほうが進化していないから大箱の話題性もそう、長くは続かないだろう。その対極ともいえる「大人の隠れ家」的事象があるが、これが幼児化して若年層向きの個室レストランがエロく進化している状況は、かなり不気味でもある。
●3番目に話したのは「へそピアス」の流行伝播の経路について。80年代からサーファー/イケイケ・ギャル系が身体表現においてつねに参考にしてきたのはアメリカ西海岸のポルノ文化だ、がその要点。Tバックの流行から性毛のケア、そしてへそピアスに至るまで、この経路をリサーチすれば、それなりにマーケットの方向性も見えてくるはずだ。
●ファッションとアートが結びつき巨額のお金が動く状況も、最近の顕著な例だ。村上隆とルイ・ヴィトンのコラボレーションは周知のことと思うが、 1996年に100万円で売れた巨大なアニメのフィギュア風彫刻が、今年のクリスティーズで6600万円の値段をつけたこと。あるいは音楽プロデューサーにして裏原宿系のカリスマの藤原ヒロシが、現代美術のコレクターとして相当な額の収集をしていること。すなわちアートを創る側も買う側も非常にカジュアル化していること。そこに大きな企業の人たちは気づいていない点などを指摘した。裏原宿系の資金調達の高さにももっと注目していいはずだ。
●とまあ、そういうようなことをマーケティング・リサーチをも含め、未来予測も含め、さらに自分で撮影して編集した東京高層ビル群のイメージ・ビデオにスライド総数130枚で、1時間半の講演。やる方も大変だけれど、かなり充実した内容だったと自負している。アンケートの結果もかなり好評だった。
1.電通の未来的イメージの強いガラス建築
2.プラダ青山本店はスイスのヘルツォーク&ド・ムーロンの設計。
3.六本木ヒルズのなかでも最も未来的なデザインが成功した部分。
4.青山にある〈ル・フォブール〉。「ネオ・バロック」なインテリアがお洒落。
5.六本木ヒルズのいたるところに見える飾られている村上隆の絵?
6.ヴェルサーチの最近の広告、後ろ右側の女性がハダカというのがエロティックで、前でキメている伊達男の、のちの快楽が保証されているかのような設定だ。高級ブランドは、そのブランドを持つ人間を待っているかもしれない「快楽」まで広告化しようとしている。
7.へそピアスのギャル。原宿の街角でここまでチャックを下ろしてくれるところが、すごい。

2004. 03
特別講義+ワークショップ 日本工学院専門学校

 蒲田にある日本工学院専門学校で、特別講義とワークショップを行った。デザインやそれにまつわる業界の仕組みや代理店から小さなプロダクションまでのヒエラルキーについて、あるいは就職状況の厳しさを、採用する側の立場から詳しく説明。でも、自分もそうだったけれど、学生の時って「企業的」な「ものの考え方」とかできないから甘いのもしょうがないけれどね。逆に「企業的」に考えられる美大生(僕の場合はムサ美)なんて気持ち悪かったし。  ワークショップは、紙を切って立体を作ってデザインしてゆくというもの。講義とワークショップで3時間はあっという間。学校のMac環境などの設備が良いのにはびっくりした。
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