2002. 07
STUDIO VOICE-postmodern returns

 2002年の春、ついに「学研電子ブロックEX-150」が復刻された。最近、本屋でよく見る学研の「大人の科学」シリーズのひとつとして発売されたものだが、電子ブロックだけ80年代当時のデザインのまま復刻されたというのは、この商品のヴィンテージ人気にあやかったものに他ならない。すでに95年頃から電子ブロック人気はうなぎ登りでインターネット以前、すなわちNiftyのBBSの売買欄でも高値で取り引きされていた。そのうちちょっとオタク入りの裏原宿系からも人気も得て、テキサス・インスツルメンツの「スピーク&スペル」なんかと一緒に、そのテのヴィンテージ雑貨屋などにも置かれたりするようになった。「EX- 150」が一時は2万円まで急騰したのだから、その商品価値をもっと早く見極められなかった学研も、ちょっとお粗末な気がする。今回が半年続いたこの連載の最終稿である。インターネット関連雑誌なのに一度もインターネットに触れなかったので、最終回は商品企画の市場調査におけるネット・オークションの重要性について「電子ブロック」などの昔の科学玩具を例に考察してみた。文章よりも自分で撮影した商品フォトのほうがカッコイイかもしれない。写真素材集めなどにも尽力をいただいた担当の佐々木(旧)副編集長には、この場を借りて感謝したい。

2002. 07
MAGAZINE-Morphizm of Style

 いわゆる裏原宿系と呼ばれるストリートの熱気は一頃ほどではないにしても、次々とショップが生まれ、なにがしかの新しさをそこで提供している状況に変わりはない。最近、とくに気になるのは商品展示にたいするパッケージ化の傾向だ。商品のラッピングのことではない。そうではなく店内に置かれている商品がすでにパッケージのなかに閉じこめられている……そんなディスプレーが顕著だということだ。〈BEAMS T〉ではTシャツが、ガラスのショーケースのなかで吊られて回転してゆく。〈A BATHING APE〉では、Tシャツが透明アクリルの板に挟まれて売られている。〈FOOT SOLDIER〉では、ガラスのショーケースのなかのベルト・コンベヤーの上をスニーカーが流れている……、そんな本来、カジュアルと目される商品がガラスケースのなかにパッケージされて、何かした特別なもの、つまり商品として「特化」されてゆく。このような傾向はいつ頃から現れ、現在、どう進行しているのだろうか? そもそもなぜこうしたパッケージ化が一種のブームとなり得ているのだろうか? 90年代後半NIGOらのクリエーターの嗜好とこのパッケージ化現象が交差する瞬間があったあたりから、今日のパッケージ現象を読み解く。
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