2002. 06
東京工芸大学特別講義

 神奈川県本厚木にある東京工芸大学の講堂で、 200人以上の学生をまえに1時間半ほど特別講義をした。テーマは、「デザインのカンブリア紀──その絶滅種と進化について」。 簡単にいうとパソコンや電卓など、60年代までのモダニズム以降に出た新製品のデザイン論のようなもの。 それまで市場に存在しなかった商品は、機能優先のノン・デザインから他社との差別化によるデザインの実験へ(それがカンブリア紀の多様な生物種の爆発に例えることができる)、 そしてモダニズムの洗練へと向かう。それは19世紀以降の工業製品デザイン史の大きな流れにおけるモダニズムへ、ポスト・モダンへ、 といった流れを10数年間に凝縮してしまったものであり、60年代以降に開発された新製品のデザインにおける宿命ともいえる。 パソコン、電卓、デジカメ、どれをとってもその「凝縮された10年」のデザイン史を辿るということをスライド多数、まじえて解説。

2002. 06
INTERNET MAGAZINE - Morphizm of Style

 このところの異様なまでの「ツリ目」デザインの流行は、いったいいつ頃から始まり、どこに起源があるのだろか?『INTERNET MAGAZINE』連載第4回目は、そんな「ツリ目」デザインについて探ってみた。  とはいえ流行の起源や、その心理を正確に探るのはかなり困難なことだ。過去の事象を辿って共通項を拾い集め、その頃の共通感覚を浮かび上がらせる。ここでは主に携帯電話のデザインとクルマのヘッドライトのデザインから「ツリ目」事象を辿ることにした。そうすると、ほぼ1996年前後がターニングポイントだったことが見えてくる。たぶんクルマのヘッドライトとケイタイのボタンでは、同じ「ツリ目」にしても意味は違ったのだろうが、それが「普遍化」してゆくとともに「時代」感覚そのものとなっていったのだろう。  目まぐるしい流行様式のなかでは、ほんの少し前に始まった事象でさえ、すでのその起源の輪郭さえも不確かになってしまう。この連載での試みは、今すでに起こっていて変化しつつある流行の起源を探る「考古学」のようなものだ。そして「ツリ目」デザインを「考古学」的に発掘して探り当てた「時代の心理」とは……僕自身は、それを「幼児退行性」と考えたが、その詳細については本文をご覧あれ。
 copyright ©1997-2008 papier colle.s.a. All Right Reserved