Soulsticeのこのデビュー・アルバムを買うためにどれほど渋谷のレコード屋をまわったことだろうか? 何よりも驚いたのは、店員がOm Recordsすら知らなかったりしたことだ。やっとのことで手に入れたのは残念ながらLPではなく、CDである。このコーナーの趣旨とは違ってしまうが、どうかお許しいただきたい。ともかくこれは大傑作アルバムだ。そして今年、新作でたぶんこれ以上のものに出会うことはないような気がする。すでに「Om Lounge」のコンピレーションで数曲聴いていたが、それでも全曲シングル・カットできそうな素晴らしい仕上がりには驚くばかりだ。アンディ・コールドウェルの作曲能力、そしてミックスのセンスも並大抵のものでないことが知れる。前回も書いたとおり本人たちは、自分たちの音楽を「フューチャリスティック・エレクトロニック・ソウル」と呼んでいるが、ハウス全盛期に深い影響を受けたことは確かだ。それにしてもこれほど完成度の高いデビュー作などに滅多に出会えるものではない! Soulsticeを買え! メンバーはアンディ・コールドウェルとガブリエル・レーンのキーボードにジーナ・レーンのヴォーカル。最後の11曲目が終わった後、5分ほど音のない時間が過ぎて、その後隠しナンバーの曲が現れる細工も洒脱だ。しかもこれがパラダイス・ムードの秀作。