「Happy?」
Evan Lurie
Crepuscule

ニューヨークのトライベッカに住む友人に10年ぶりに会ったら、「以前は近くにジョン・ルーリーも住んでいたのよ」という話しになって、思い出したのがこのレコード。ラウンジ・リザーズのピアノでジョンの弟、エヴァン・ルーリーだ。1985年にクレプスキュールからリリースされたものだが、当時はこのレコードが出たことさえ、知らなかった。でも、周りのラウンジ・リザーズ・ファンも案外、このレコードの存在は知らなかったから、あまり話題にならなかったのかもしれない。完全にソロ・プレイで現代音楽的なニュアンスを感じさせるものばかりだが、そのどれもがエヴァンの作曲だ。音楽的に似ているわけではないが「位置」的には日本の上野耕治あたりを思い起こさせる。静謐で知的でしかも錯綜した音。上野耕治もその天才的な才能のわりには坂本龍一のように大衆的知名度はないが、このエヴァン・ルーリーもそうだ。ご覧のように弟も兄以上に細面の美青年で、女のコだったらジャケだけでまいってしまうだろうに。