ちょっと見にはエレンコ・レーベルのようなジャケだが(実際にELENCO盤にそっくりのがあって、そのパクリ)「Far Out Recordings」というイギリスのレーベル。 ジョイス以外にもマルコス・ヴァレやアジムスなどのブラジル系作品をリリースしているレーベルだ。 ジョイスは70年代後半からアメリカのジャズメンらと共演したりして、それが英国のクラブ・ジャズ系に発掘されてリミックスされたりもして、 ともかくいまだに人気は絶大だ。1968年に19歳でデビューした彼女はすでに50歳を超え、最近では娘がデビューを果たしてもいるが、 でもこれは1999年リオ・デジャネイロでの録音。衰えを見せぬ内容は素晴らしいの一語に尽きる。ジョイス自身の楽曲作りもバック陣も良く、必聴の1枚。ちなみにこのページはアナログ盤のみを扱っているので紹介できなかったが、マイーザやアナ・ルシアなど日本でCDで復刻されているブラジルものの佳作は数多い。なかでも1958年に録音されたマイーザの「マイーザの世界へようこそ」は、ボサノヴァ前夜のサンバ・カンソーンの暗い部分を代表する傑作だし、ナラ・レオーンが1971年に録音した「美しきボサノヴァのミューズ」も彼女のエレンコでのデビュー作などよりもよほど素晴らしい作品だ。この2枚はとくにお薦めしたい。